日刊スポーツ[2024年8月9日1時15分]
https://www.nikkansports.com/olympic/paris2024/wrestling/news/202408090000040.html
<パリオリンピック(五輪):レスリング>◇8日(日本時間9日)◇男子フリースタイル57キロ級◇準決勝◇シャンドマルス・アリーナ
【パリ=阿部健吾】男子フリースタイル57キロ級の樋口黎(28=ミキハウス)が銀メダル以上を確定させた。準決勝でアマン・アマン(インド)に10-0と圧勝し、2大会ぶりの決勝に駒を進めた。
あまりに強かった。第1ピリオド(P)開始早々に一本背負いで4点を先取。そのあとも足取りからバックを取るなど追加点を挙げ、最後はローリングを決めて10-0。テクニカルスペリオリティー勝ちとなった。
8年ぶりの五輪マットで躍動していた。銀メダルだったリオデジャネイロ大会から東京では出場を逃し、パリへ。「ベストパフォーマンスを出して優勝する」と豪語していたとおりに動きは軽快そのもの。1回戦が不戦勝となって準々決勝から登場すると、アンクルホールドや鮮やかながぶり返しを決め、得意の片足タックルに頼ることなく圧勝した。
湯元健一コーチは、1回戦がなくなり「めちゃくちゃプラスに働いた。リカバリーの時間が長いのは彼にとってのメリット」と証言。準決勝の完勝には「動きは朝から絶好調だと言っていた。初戦を見た時はちょっと緊張してたのか固かった感じもしたが、非常に良かった」と評価した。
東京五輪はアジア予選でまさかの計量失格。失速して2大会連続出場を逃した。「悔しさはあったけど、考えても仕方ない」と必死に前を向いた。昨年の世界選手権で2位となり、パリへの道を切り開いた。日体大の同期生で、それぞれが主将を務めていた男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎(ミキハウス)が先に五輪王者となった。8日は同77キロ級で日体大の後輩の日下尚(三恵海運)も金メダルをつかみ、勢いがある日本男子勢。「(文田と)2人で金メダルが一番いい」と誓い合った頂点へと歩を進めた。
決勝の相手は米国のリー・スペンサー・リチャード。準決勝でウズベキスタン選手に14-4と圧勝している。
湯元コーチは「アメリカは今まで情報がない。不気味な感じ。気を抜かないように気を引き締めながら」と警戒しつつ「彼のレベルなら圧勝してもらいたい」と期待を寄せた。