2022年09月15日 05:00 野球
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/09/15/kiji/20220914s00001173779000c.html
オリックス・能見篤史投手(43)が今季限りで現役を引退することが14日、分かった。阪神で選手として16年間、オリックスでは投手コーチ兼任として2年間。ヤクルト・石川と並びプロ野球現役最年長投手が18年間の現役生活に終止符を打つ。すでに球団側には現役引退の意思を伝えており、近日中にも会見を開く。また、球団は新たに来季のコーチ契約を要請することも判明。引退セレモニーを開催し、通算104勝の名左腕を送り出すことも決まった。
華麗で、そしてしなやかな投球フォームで数々の名打者を翻弄(ほんろう)してきた。プロ18年間で積み重ねてきた勝利数は104勝。球界に記憶と記録を残した能見が、現役生活に終止符を打つ重大な決断を下した。
「悔いなく(野球を)することも大切」
契約更改交渉に臨んだ昨年12月の時点で、すでに覚悟を決めていた。22年シーズンがラストイヤー。その思いを心に秘めて再びユニホームに袖を通した。今年2月の春季キャンプも若手投手に並び初日からブルペン入り。現役最年長投手ながら阪神時代からの“恒例行事”も続けるなど信念を貫き通した。
オリックス移籍2年目の今季は、6月12日の阪神戦が今季初登板となった。場内アナウンスで「能見」の名前がコールされると、大歓声と割れんばかりの拍手が京セラドームに響き渡った。古巣のファンからも愛されていた証だった。「鳥肌が立った」。本人も驚きを隠せなかった舞台では堂々の1回無失点。健在ぶりを見せつけた。
その一方で若手投手の台頭もあり、シーズン中盤以降は登板機会が激減。熾烈(しれつ)な優勝争いを繰り広げるチームの状況下にあって、コーチとして選手のサポート役に徹していた。
「やりきった」
最近では近しい関係者にはそう本音を漏らしており、ついに後進に道を譲る決意を固めた。鳥取城北から大阪ガスを経て04年ドラフトで自由獲得枠として入団。プロ初登板は入団1年目の05年4月3日、ヤクルト戦だった。25歳10カ月と遅咲きのデビューとなったが、18年6月28日のDeNA戦では通算100勝を達成。プロ野球135人目で、39歳1カ月での到達は史上2番目に遅い到達だった。
阪神では05年、オリックスでは21年のリーグ優勝に貢献した。13年は日本代表としてワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも出場。オリックス移籍後は、負担の大きい投手コーチ兼任の重責も担った。オフには古巣の若手選手とも合同自主トレに励むなど、両チームの選手からの信頼は絶大だ。オリックスはコーチとしての能力と指導力を高く評価しており、来季はコーチ専念での再入閣を要請。先発、中継ぎ、抑えとして球史に名を残した名左腕が、ついに現役生活に別れを告げる。
◇能見 篤史(のうみ・あつし)1979年(昭54)5月28日生まれ、兵庫県出身の43歳。鳥取城北から大阪ガスに進み、04年ドラフト自由獲得枠で阪神入団。09年は先発に定着して13勝。12年に172奪三振で初タイトル。13年WBC日本代表。20年オフにオリックスへ移籍。阪神では通算443試合で104勝93敗2セーブ51ホールド、防御率3.34。オリックスでは投手コーチ兼任。1メートル80、74キロ。左投げ左打ち。