音楽フェス『ap bank fes』が初の無観客生配信で行われることが決定し、視聴チケットの販売がスタートした。
『ap bank fes '21 online in KURKKU FIELDS』と題し、10月3日に千葉県・クルックフィールズから生配信される今回は、小林武史とMr.Children櫻井和寿を中心としたBank Bandのほかに、ゲストアーティストとしてKAN、Salyu、宮本浩次、miletらが出演。さらに10月3日に収録されたBank Bandのライブ映像にスペシャルライブを加えた「特別版」が10月10日から17日までの期間限定で配信される。
中略
■小林武史 コメント
ap bank fes '21は無観客配信での開催を発表しました。
お待たせしてしまいましたが、長い時間をかけて世の中の様々な動向を窺いながら、議論や検証を行い、最終的な判断として今回は「無観客」の「配信」でお届けするという選択に至りました。
本当に悩みに悩んだ末の決定です。
半分は残念ですが、半分はそれ以上の希望と期待を持って開催に向かっています。
ここからは今回の開催に至った経緯を、ap bankのあり方とも関連するので説明させてください。 ちょっと長文になりますが……
ap bank はこれまで、環境問題への融資活動や東北への震災復興と災害支援、そして自然に近い場所で行ってきたフェスなど、自然や命との繋がりやあり方を大切に活動してきたと思っています。
そして現在はコロナ禍という新たな自然の猛威にさらされている時だから、いまは命の安全を考えて立ち止まるべきだという思いと、そんな時代に皆さんと「次の未来へ」向かっていく希望になるようなことができないものかという考えの間で揺れながら、検討を重ねてきました。(音楽業界やアーティスト、スタッフのことを考えても、もし地域等のコンセンサスを得られるものならばガイドラインに沿った形でやれるところからやるべきだろう、という考えも同時にありました。)
当初は、設営や運営にかかる経費の観点から、それなりに多くの収容人数を確保できる候補場所を設定していたのですが、最終決定のデッドラインと考えていた9月に向かって、有観客大規模イベントに対する風当たりは様々な要因で増えていきました。この時点で僕の中でも「今年は完全中止」ということが視野に入ってきていました。
ap bank fesをはじめとして、ap bankのイベントというのはもともとが活動資金を拠出するための目的で始めたことなので、赤字にするわけにいかないという思いが僕たちの中には基本的にあります。ある意味でそれは公的なお金だと思っている。だからap bankのお金を大切に使っていくということも含めて試算は重要なことなんです。(※ap bankの活動資金は被災地支援や復興支援、環境活動などに拠出されています)
先日の石巻での『ワン・バイ・ワン・プラス』は運営的にも成功だったのですが、あのような形で規模ということをあらためて見直してみるというのは、コロナの時代に新しい気づきを与えてくれたことでもありました。そんな思いの中で8月下旬、最後の模索をしていたように思います。
そんな時にスタッフから「クルックフィールズでの開催はどうですか?」というアイディアが出ました。ある程度の規模での開催にこだわっていた僕は、それまで全くその事に気づかなかったのですが、クルックフィールズは僕が総合プロデュースをしている農場をベースとした自然循環型施設といった場所です。
とにかく決定の時間が迫っている中、早速、久しぶりに訪れる櫻井くんを始め、多くのスタッフと視察をすることになりました。
クルックフィールズはap bankソーラーを含めてap bankがあったからこそ生まれた場所でもあり、(天気次第なところはありますが)当日の演奏や運営はほぼ100%自然エネルギーで賄うことができるなど自分たちの責任判断で様々な調整や運営がしやすい場所です。それによって設営等運営経費もかなり抑えることができるということも視察でわかってきました。
「正直あきらめていました」と櫻井くんも言っていたのですが、いずれにしても、この最終段階で、こうして逆転の開催可能説が浮上した訳です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e6f638951e40eea1bee6800ea5139e87b43beb3