2021年5月16日、ムエタイの伝説センティアンノーイ・ソールンロー氏が死去した。54歳だった。ムエタイの最高峰ラジャダムナン、
ルンピニーの両スタジアムで王座を獲得し、国内外の強豪と戦った同氏は、引退後にジムを開設。日本からも多くのファイターが
トレーニングに訪れている。
勝利後に相手にキスをすることから“殺しのキッス”の異名をもつセンティアンノーイ氏の悲報に、国内外から多くの追悼のコメントが
寄せられている。
なかでも、現地で自身が練習後、生徒たちも送り込んでいたジョシュ・バーネットは、SNSに長文の追悼コメントを寄せた。
本誌『ゴング格闘技』では、インタビューの際に、ジョシュが影響を受けた2人のクリエーター、センティアンノーイ氏と、
同時期に亡くなった『ベルセルク』の作者・三浦建太郎氏(54歳)について、追悼のコメントを聞いた。下記に紹介したい。
(略)
──5月6日には、三浦建太郎氏が亡くなりました。あなたは『ベルセルク』のファンでもありましたね。
「あれほどの厳然たる闇をもって、ハイ・ファンタジー(架空の世界のファンタジー)からグノーシス・ホラーへと融合させている
ところが好きだった。超自然的な側面においては、古い『アブラハムの宗教』における密教的な部分や、そのほか数多の
超自然的な神話が由来となっているのだろう。そしてこのような信仰の体系を描くことによって(クトゥルー神話として知られる)
ラブクラフチアン的な要素を生み出している。中世(ヨーロッパ)の戦いや、鎧や武器のディテールなど、全体にまさしく
ヘヴィメタルな雰囲気を纏っていた」
──どんなシーンが印象に残っていますか。
「チューダー騎士団からキャスカを護りぬいたガッツの100人斬りは、とてつもなく衝撃的だった。ガッツは自分の愛する者を
守るために戦ったわけだが、それだけではなく、彼が何よりも愛すること──それはつまり彼自身の信念によって、彼自身の
剣をもってして生死を分けて戦い抜いた。それから、ガッツが鷹の団を離れて独立する時が来たことを決意した際の、
雪の中でのグリフィスとの戦いも好きだ。この戦いは、ガッツとグリフィス、2人の意志というものが肉体的に描き出されていて、
ガッツの純粋な行動がグリフィスの利己的な行動に打ち勝つ様子や、グリフィスが、自分の縄張りすべてを支配できるわけではないと
悟ったことによる落胆が描かれていて、とても印象的なシーンだ」
──ファイターとして彼の作品からも影響を受けた。
「そうかもしれない!『ベルセルク』の哲学的で、隠喩的な側面がとにかく好きで、ある種ニーチェ的な要素を、とりわけガッツについては
多分に含んで描かれていると思う。ガッツという人物、そして彼が抱く苦悩に関して、ストーリーのなかで文字通りに描かれているように、
また誰もが乗り越えたいことに立ち向かい努力することの喩えとして捉えているところがあって、そこに親近感を抱くよ。それに、
ガッツに対しては個人的にも共感するところがある。だからインスピレーションを与えてくれるようなものはなんであれ、自分の行動に
対して影響しているんじゃないかと思う」
──30年以上にわたり執筆した三浦氏に追悼の言葉を。
「あなたの想像力を我々みんなに共有してくださって、本当にありがとうございました。個人的に、自分に喜びを与え、関心を
抱かせてくれたことに心から感謝申し上げます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4ea7be4586f0c584e9443fcc0a86b0713f2b27c?page=2
ルンピニーの両スタジアムで王座を獲得し、国内外の強豪と戦った同氏は、引退後にジムを開設。日本からも多くのファイターが
トレーニングに訪れている。
勝利後に相手にキスをすることから“殺しのキッス”の異名をもつセンティアンノーイ氏の悲報に、国内外から多くの追悼のコメントが
寄せられている。
なかでも、現地で自身が練習後、生徒たちも送り込んでいたジョシュ・バーネットは、SNSに長文の追悼コメントを寄せた。
本誌『ゴング格闘技』では、インタビューの際に、ジョシュが影響を受けた2人のクリエーター、センティアンノーイ氏と、
同時期に亡くなった『ベルセルク』の作者・三浦建太郎氏(54歳)について、追悼のコメントを聞いた。下記に紹介したい。
(略)
──5月6日には、三浦建太郎氏が亡くなりました。あなたは『ベルセルク』のファンでもありましたね。
「あれほどの厳然たる闇をもって、ハイ・ファンタジー(架空の世界のファンタジー)からグノーシス・ホラーへと融合させている
ところが好きだった。超自然的な側面においては、古い『アブラハムの宗教』における密教的な部分や、そのほか数多の
超自然的な神話が由来となっているのだろう。そしてこのような信仰の体系を描くことによって(クトゥルー神話として知られる)
ラブクラフチアン的な要素を生み出している。中世(ヨーロッパ)の戦いや、鎧や武器のディテールなど、全体にまさしく
ヘヴィメタルな雰囲気を纏っていた」
──どんなシーンが印象に残っていますか。
「チューダー騎士団からキャスカを護りぬいたガッツの100人斬りは、とてつもなく衝撃的だった。ガッツは自分の愛する者を
守るために戦ったわけだが、それだけではなく、彼が何よりも愛すること──それはつまり彼自身の信念によって、彼自身の
剣をもってして生死を分けて戦い抜いた。それから、ガッツが鷹の団を離れて独立する時が来たことを決意した際の、
雪の中でのグリフィスとの戦いも好きだ。この戦いは、ガッツとグリフィス、2人の意志というものが肉体的に描き出されていて、
ガッツの純粋な行動がグリフィスの利己的な行動に打ち勝つ様子や、グリフィスが、自分の縄張りすべてを支配できるわけではないと
悟ったことによる落胆が描かれていて、とても印象的なシーンだ」
──ファイターとして彼の作品からも影響を受けた。
「そうかもしれない!『ベルセルク』の哲学的で、隠喩的な側面がとにかく好きで、ある種ニーチェ的な要素を、とりわけガッツについては
多分に含んで描かれていると思う。ガッツという人物、そして彼が抱く苦悩に関して、ストーリーのなかで文字通りに描かれているように、
また誰もが乗り越えたいことに立ち向かい努力することの喩えとして捉えているところがあって、そこに親近感を抱くよ。それに、
ガッツに対しては個人的にも共感するところがある。だからインスピレーションを与えてくれるようなものはなんであれ、自分の行動に
対して影響しているんじゃないかと思う」
──30年以上にわたり執筆した三浦氏に追悼の言葉を。
「あなたの想像力を我々みんなに共有してくださって、本当にありがとうございました。個人的に、自分に喜びを与え、関心を
抱かせてくれたことに心から感謝申し上げます」
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4ea7be4586f0c584e9443fcc0a86b0713f2b27c?page=2