日本新聞労働組合連合(新聞労連)などメディア労組4団体は9日、東京都内で記者会見し、
日本新聞協会など4業界団体と加盟各社に対し、女性役員比率を上げるよう要請したことを明らかにした。
メディアの業界団体や加盟各社の女性役員の数は極めて少なく、約7割の団体・会社が役員ゼロだった。
東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言で、
日本のジェンダーギャップに国際的な注目が集まるなか、新聞労連の吉永磨美中央執行委員長は
「発言の背景に女性蔑視的な社会風土がある。メディアの影響や責任は大きく、私たち自身が変わる必要がある」と訴えた。
■メディア各社 女性役員わずか
・新聞労連の調査によると、2019年4月1日現在で、全国の新聞社38社の女性割合は従業員で19・92%だが、管理職で7・71%にとどまる。
役員となると、38社の役員319人中、女性はたった10人。毎日新聞は従業員23・57%、管理職10%、役員ゼロ。
・日本民間放送労働組合連合会(民放労連)の18年度の調査によると、在京6社はいずれも社員で女性20%以上だが、
役員は0〜14・3%、番組制作部門のトップはいずれもゼロだった。
また業界団体でも、日本新聞協会の役員53人、日本民間放送連盟の役員45人のうち女性はゼロだ。
■森発言の背景「変わらないメディアの責任重い」
会見した新聞労連の吉永委員長は要請の狙いを
「指導的地位の女性を3割に増やすという政府目標が長年掲げられてきた中で、メディアが全く変わってこなかった。
インターネットメディアが台頭する中、旧来メディアは苦戦している。
多様な意見を反映できない現状が、産業の衰退にもつながっているという危機感が強い」と語った。
また、森会長の発言にも言及。
「日本の意思決定層に女性が少なすぎること、中でもメディアがジェンダーギャップを放置している責任は重い。
性的に強調したり、性別役割分業を助長するような表現を野放しにしていないか。
そうした姿勢が、森会長の発言や、それを笑って受け流す社会のあり方につながっているのではないか」と指摘した。
民放労連女性協議会の岸田花子副議長も
「森会長が辞任して済む問題ではない。むしろ森会長は女性登用を進めて意思決定のあり方を変えていく責任があるのではないか」と話した。
https://mainichi.jp/articles/20210209/k00/00m/040/306000c