では改めて、ジャンプのなにがすごいのか――どこがすごいから、こうした作品が次々に生まれているのか。
■数字に基づいて新陳代謝を促すしくみが確立されている
昔から言われているとおり、ジャンプの連載作品はアンケートの順位が低いと打ち切られる。前作がヒットした作家の新作だろうが容赦なく、だ。
もちろん、どこの媒体も不人気作品を打ち切るのは同じだが、ジャンプの場合は「コミックスの部数を勘案して」とか「雑誌を支えてくれた作家だから」といった恣意性や特定の編集部員・編集長の属人的な温情等々を極力排して本誌アンケートの結果で判断している(くわえて、作家のみならず、編集者も数字を元に評価され、結果が残せなければ異動になる)と見られている。
これは描いている作家からすると過酷だが、新人からすればチャンスだ。冷徹に「切る」しくみがないと、新しい作品が「入る」枠が減る。
温情などを理由に低迷作品に対する判断を遅らせれば遅らせるほど、新陳代謝は沈滞し、新作・新人に与えられる機会は減る。切るしくみがしっかりしているほうが、その枠に入りたい新作・新人にとっては有利になる。
そうはいっても、どの作品も一作ごとに作り手・送り手側の強い情や想い、編集者の情熱が込められているわけで、そういうことよりも数字(の向こうにいる読者の反応)を元にシビアに打ち切りの判断をしていくのは、言うほど簡単ではない。
しかし、出した作品に対する反応がすぐわかる週刊誌の特性を活かし、どこよりも素速く、徹底して続けてきたことがジャンプの強みだ。
ジャンプ本誌以外に集英社内でもヤングジャンプ、ジャンプSQ.、ウルトラジャンプ、ジャンプ+などいくつも描く場所があるので、昔ほど一度ヒット作を描いた作家に対して厳しい印象はないかもしれないが、本誌内での競争は変わらず熾烈だ。
■新人獲得、ノウハウ共有、ツール提供に積極的
切る仕組みがあっても入ってくる人(新人マンガ家)がいなければ、そしてそれを育てるしくみがなければ新陳代謝は成り立たない。
描き手を育てるには、実際に場を与えて描いてもらい、読者の反応を見て次に臨むサイクルをつくっていくのが一番だ。
しかし、新人とはいえ描いてもらったら原稿料が発生する。いくら増刊号を出しても紙の雑誌では紙幅は限られている。だからなんでもかんでも載せるわけにはいかない。
――それが“かつての”常識だった。だが、「ジャンプ+」細野修平編集長のTweet(2020.11.22)によると「ジャンプ+」は読み切りをこの1年で150本以上載せ、「ジャンプルーキー賞」「ジャンプ新世界漫画賞」などの新人賞受賞作を入れたら約200本は掲載しているという。
仮に1ページ5000円払うとして(具体的な原稿料は不明。あくまで仮置き)読み切り1本50ページとすると
5000円×50ページ×200本=5000万円
かかった、ということだ。
実際にはこれに各漫画賞の賞金が加わる。
全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/48b5d688ae06e60e5708a0b8c8c8e674b0f0bb27
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