パ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)は15日、ペイペイドームで第2戦が行われ、リーグ2位ロッテは優勝のソフトバンクに逆転負け。アドバンテージ含め3連敗で終戦を迎えた。今季は10月9日に首位にゲーム差なしまで迫るなど、46年ぶりに勝率1位で優勝する千載一遇のチャンスだったが、球団は危機管理で2度も痛恨の判断ミス。新型コロナウイルス集団感染で選手が大量離脱したうえ、世間の同情を集めた追い風もフイにしてしまい、ファンの熱い期待を裏切った。
ロッテは今世紀に入って2005、10年と日本一に2度輝いているが、前者はシーズン勝率2位からプレーオフ(現CS)を勝ち上がってのリーグ優勝扱い。後者もシーズン3位からCS、日本シリーズを勝ち上がった「史上最大の下克上」だ。勝率1位でシーズンを終えて優勝したのは、金田正一監督が率いた74年が最後で、以来46年間にわたるブランクはプロ野球史上ワースト。故障者が続出しながら、巨大戦力のソフトバンクと終盤までマッチレースに持ち込んだ今季は、負の歴史に終止符を打つ願ってもないチャンスだった。
奮戦中のチームに暗い影を落としたのが、10月4日の岩下大輝投手とチームスタッフ1人の感染に端を発したコロナ大量感染だった。
チーム全体へのPCR検査で5日に清田、鳥谷ら7選手とコーチ、スタッフ3人の計11人の感染も判明。さらに岩下の濃厚接触者として4選手が認定され、計17人の離脱を招いた。
6日の球団発表前に集団感染の情報をつかんだ本紙は、同日発行の紙面で陽性判定を受けた全選手の具体名とともに、ロッテの緩い感染症対策が以前から他球団に危険視されていたと指摘。9月29日からの日本ハム3連戦に伴う、「札幌遠征中の会食が感染ルートになった可能性が疑われる」と報じた。
記事の趣旨はあくまで集団感染が起きた背景を探ること。前提として、この時期の外食は法令違反でもなければ、政府が自粛を求める行為でもない。外食した選手らの糾弾につながるような詳述は控えたが、さらに情報収集を進める他メディアの動きは把握していた。
ロッテ・松本尚樹球団本部長は6日の会見で、札幌遠征中に「誰も外食にすら行っていない?」との質問に「行っていないです」と明言し、「感染経路は全く分からない」と説明。会見後には球団広報が多くの報道陣の面前で、本紙記者に「変な記事、出すんじゃねえよ! ウチは出てないって言ってんだよ!」と怒声を浴びせた。
「対策は徹底してきた。感染経路は全く分からない。それがコロナの怖さ」「選手が謝る必要はない」−。会見での松本本部長の悲痛な訴えは、優勝を争うチームを襲った不可抗力の悲劇として世間の同情を買い、ツイッターを「♯コロナに負けるな千葉ロッテ」のハッシュタグが席巻。逆転Vへの“神風”となる勢いを見せた。
「外食した選手は誰一人としていない」というロッテ側の主張により、本紙報道は真っ向から否定されたため、ファンなどから抗議のメールや電話も届いた。だが、記事を出す段階で札幌から情報提供を得ており、その主張がウソであるとの確信があったため、謝罪や訂正には応じなかった。また、ロッテ側からそうした要請もなかった。
会見から9日後、15日発売の週刊新潮が感染した岩下ら4選手の札幌市内での外食を詳報。ロッテの説明は一変した。松本本部長は記事内容を認めたうえで、「外食には誰一人として行っていない」と言ったつもりはなく、球団の外食ルールを破った者が1人もいないことを報道陣が誤解して伝えたと弁解。だが「言い方が悪かった」という釈明は無理筋で、前述の通り「行ってないです」と明言している。
ロッテは“防衛ライン”こそ下げたものの、あくまで「4人以内、部外者禁止というルールには違反していない」という主張は譲らなかったが、選手らは飲食店で居合わせた「部外者」の一般客と一緒に盛り上がっていた。そもそも日本野球機構が定め、12球団に順守を求めた「同一ポジションの同席を避ける」「会食の時間はできるだけ短く」というガイドラインにも抵触。他球団が危険視した通り、感染症対策の緩さを露呈している。
全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/02846e901576587f3e48d02c3d1f4d122ee2f713