サザエさん炎上騒動で考える、テレビの話題に頼るネット報道の問題点
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20200430-00175948/
4/30(木) 7:00 徳力基彦 | ブロガー/noteプロデューサー
日曜日に放送されたサザエさんが炎上という話題が、複数のメディアで取り上げられていました。
個人的には、今回のケースを「炎上」と呼ぶのは少し大袈裟ではないかという印象です。
ただ、テレビにおけるタレント発言の炎上報道などを考える上で、非常に興味深い事例といえるので、ご紹介したいと思います。
まず、今回の騒動を時系列にまとめるとこのようになります。
■4月26日 18時半 サザエさんが放送される
■4月26日 18時半〜 番組の内容がGW中の伊豆旅行や動物園と、現実の旅行自粛と相反する内容だったことが、ツイッター上で話題に
■4月26日 19時前 「サザエさん」というキーワードが、ツイッターのトレンド入り
■4月26日 19時台 トレンド入りも影響し、佐藤二朗さんの家庭での会話など、様々な議論がツイッター上で盛り上がる
■4月26日 22時 デイリースポーツが「サザエさん」がまさかの”炎上”と記事化(現在はタイトルを修正)
■4月27日 午前 上記記事がYahoo等各種ポータルサイトに掲載され、話題に
■4月27〜28日 日刊スポーツやアサジョが、炎上前提で記事化
この一連の報道の影響もあり、結果的に、ネット上でサザエさんが炎上したというタイトルだけで、
深刻な炎上を想像する人や、こんなことで炎上することを嘆く人が多数生まれてしまっているようです。
●デイリースポーツは既に記事を修正
実際、起点となったデイリースポーツも既に記事のタイトルを、
当初の「サザエさんがまさかの”炎上」から「サザエさん 実社会がコロナ禍の中でGWのレジャーは不謹慎との声も」と修正しており、
各種ポータルに配信されていた記事は削除されています。
また、当日のツイートを分析した結果、明確に「不謹慎」と名言している人は11人しかいない、
という記事が話題になるなど、デイリースポーツの記事への批判も少なくなかったようです
●大勢が視聴するテレビ番組と批判の構造
サザエさんのような視聴率が10%を超えるようなテレビ番組は、
単純計算すると全国で少なくとも数百万人が視聴していることになります。
そのうちの0.1%の人がツイートするだけで、何千人もツイートすることになるわけです。
そのツイートする人の1割、視聴者のうちのたった0.01%の人が批判的な投稿をすれば、
数百件の批判的な投稿がツイッター上に出現することになります
日本のツイッターのトレンドに、毎日の様にテレビ番組関連のキーワードが表示されるのはこれが背景です。
簡単に言うと、賛否が分かれるようなテレビ番組であれば、今回程度の批判的な投稿がツイッター上に数十から数百件出てくるのは、
ある意味普通の状況とも言えるわけです。
●炎上のネガティブサイクルを加速しないために
もちろん、私自身も、こうして炎上事例の解説記事を書いており、
このサイクルの末端に関わってしまっているのは事実ですので、他人事のように書ける立場ではありません。
ただ、読者の方に是非知って頂きたいのは、特にネット上のメディアにおいては、
記事の表示回数が広告収入に直結するビジネスモデルが確立されてしまった結果、
個人が運営するネットメディアはもちろん、デイリースポーツや日刊スポーツのように歴史のあるメディアであっても、
時にこうやって炎上を過剰に報道してしまうことがあるという点です。
炎上のネガティブサイクルを生み出しているのは、メディアかもしれませんが、
そうした記事に釣られて炎上記事の拡散に私たちが協力してしまうと、
私たちもネガティブサイクルを回すことに加担してしまっていることになります。
炎上がタイトルに入っている記事を見つけたら、是非その記事を拡散する前に、
少し落ち着いて、本当に炎上が事実なのか、調べてみることをオススメします。
個人的には、ウイルス感染拡大により、人々の間に不安や他の人に対する疑心暗鬼や怒りが広まってしまっている
今このタイミングで、こうしたささいな出来事を炎上と取り上げて火に油を注ぐ行為は、できるだけさけ、
未来に向けて私たちが協力していくために役立つ記事を増やしていきたいと、自分にも改めて言い聞かせたいと思います。
全文はソースで
https://news.yahoo.co.jp/byline/tokurikimotohiko/20200430-00175948/
4/30(木) 7:00 徳力基彦 | ブロガー/noteプロデューサー
日曜日に放送されたサザエさんが炎上という話題が、複数のメディアで取り上げられていました。
個人的には、今回のケースを「炎上」と呼ぶのは少し大袈裟ではないかという印象です。
ただ、テレビにおけるタレント発言の炎上報道などを考える上で、非常に興味深い事例といえるので、ご紹介したいと思います。
まず、今回の騒動を時系列にまとめるとこのようになります。
■4月26日 18時半 サザエさんが放送される
■4月26日 18時半〜 番組の内容がGW中の伊豆旅行や動物園と、現実の旅行自粛と相反する内容だったことが、ツイッター上で話題に
■4月26日 19時前 「サザエさん」というキーワードが、ツイッターのトレンド入り
■4月26日 19時台 トレンド入りも影響し、佐藤二朗さんの家庭での会話など、様々な議論がツイッター上で盛り上がる
■4月26日 22時 デイリースポーツが「サザエさん」がまさかの”炎上”と記事化(現在はタイトルを修正)
■4月27日 午前 上記記事がYahoo等各種ポータルサイトに掲載され、話題に
■4月27〜28日 日刊スポーツやアサジョが、炎上前提で記事化
この一連の報道の影響もあり、結果的に、ネット上でサザエさんが炎上したというタイトルだけで、
深刻な炎上を想像する人や、こんなことで炎上することを嘆く人が多数生まれてしまっているようです。
●デイリースポーツは既に記事を修正
実際、起点となったデイリースポーツも既に記事のタイトルを、
当初の「サザエさんがまさかの”炎上」から「サザエさん 実社会がコロナ禍の中でGWのレジャーは不謹慎との声も」と修正しており、
各種ポータルに配信されていた記事は削除されています。
また、当日のツイートを分析した結果、明確に「不謹慎」と名言している人は11人しかいない、
という記事が話題になるなど、デイリースポーツの記事への批判も少なくなかったようです
●大勢が視聴するテレビ番組と批判の構造
サザエさんのような視聴率が10%を超えるようなテレビ番組は、
単純計算すると全国で少なくとも数百万人が視聴していることになります。
そのうちの0.1%の人がツイートするだけで、何千人もツイートすることになるわけです。
そのツイートする人の1割、視聴者のうちのたった0.01%の人が批判的な投稿をすれば、
数百件の批判的な投稿がツイッター上に出現することになります
日本のツイッターのトレンドに、毎日の様にテレビ番組関連のキーワードが表示されるのはこれが背景です。
簡単に言うと、賛否が分かれるようなテレビ番組であれば、今回程度の批判的な投稿がツイッター上に数十から数百件出てくるのは、
ある意味普通の状況とも言えるわけです。
●炎上のネガティブサイクルを加速しないために
もちろん、私自身も、こうして炎上事例の解説記事を書いており、
このサイクルの末端に関わってしまっているのは事実ですので、他人事のように書ける立場ではありません。
ただ、読者の方に是非知って頂きたいのは、特にネット上のメディアにおいては、
記事の表示回数が広告収入に直結するビジネスモデルが確立されてしまった結果、
個人が運営するネットメディアはもちろん、デイリースポーツや日刊スポーツのように歴史のあるメディアであっても、
時にこうやって炎上を過剰に報道してしまうことがあるという点です。
炎上のネガティブサイクルを生み出しているのは、メディアかもしれませんが、
そうした記事に釣られて炎上記事の拡散に私たちが協力してしまうと、
私たちもネガティブサイクルを回すことに加担してしまっていることになります。
炎上がタイトルに入っている記事を見つけたら、是非その記事を拡散する前に、
少し落ち着いて、本当に炎上が事実なのか、調べてみることをオススメします。
個人的には、ウイルス感染拡大により、人々の間に不安や他の人に対する疑心暗鬼や怒りが広まってしまっている
今このタイミングで、こうしたささいな出来事を炎上と取り上げて火に油を注ぐ行為は、できるだけさけ、
未来に向けて私たちが協力していくために役立つ記事を増やしていきたいと、自分にも改めて言い聞かせたいと思います。
全文はソースで