2020年04月22日 17時00分
https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/1825587/
【どうなる?東京五輪パラリンピック(23)】なぜ、こんなことが起きたのか。新型コロナウイルス感染拡大により1年延期となった東京五輪の追加費用に関し、国際オリンピック委員会(IOC)は公式ホームページで安倍晋三首相(65)が費用負担に同意した旨の文書をアップ。日本側は猛反発し、大会組織委員会の抗議によって該当箇所は削除、訂正された。一国の総理の名が引用されたとあって、日本政府も混乱に巻き込まれたが、不可解なドタバタ劇の裏にはIOCの“ある疑惑”が浮上。その真相とは――。
「Abe Shinzo」の文字がIOC公式ホームページ上に記載されたのは日本時間21日。1年延期となった東京五輪の追加費用についてQ&A方式の文書の中で「安倍晋三首相が現行の契約条件に沿って引き続き日本が負担することに同意した」と明示した。これには日本政府が即座に反応。延期が正式に合意された3月24日夜、安倍首相とIOCトーマス・バッハ会長(66)の電話会談の場に居合わせた橋本聖子五輪相(55)は「どう翻訳されたか分からないが、驚いた」と不快感を示した上で「合意した事実はない」ときっぱり否定。同じく菅義偉官房長官(71)も事実無根を主張した。
この後に組織委のリモート会見がもともと予定されていたが、不測の事態が重なったため対応した高谷正哲スポークスマン(41)も大わらわ。出席したメディアからは“不適切な文書”への対処に関する質問が大半を占め、高谷氏は「双方が合意した内容を超え、このような形で総理の名前が引用されたことは適切でない」と組織委の見解を主張。該当箇所の削除をIOC側にメールで求めたことを明かした。森喜朗会長(82)も「安倍首相の名前を出したことは極めて遺憾」と述べた。
問題はここからだ。会見終了から約1時間後、日本側から抗議を受けたIOCはすぐにサイトを修正。問題の箇所は削除され「IOCと日本側は延期による影響を共同で評価し、議論していく」と当たり障りのない表現に差し替えられたのだ。ある競技団体幹部が「実は日本側は密室で費用負担に同意していたのか」と推測したように、削除依頼に対する迅速過ぎる対応に不信感を抱く関係者は多い。
何の抵抗もなく素直に日本側の主張を受け入れ、180度違う見解を更新した点は確かに不可解。これはズバリ、IOCの「確信犯」説が有力だ。安倍首相の名を使い、誤った文書をあえて掲載してマネーゲームを優位に運ぶことが狙い…とみられる。
実際、約1週間前にもバッハ会長がドイツメディアのインタビューでIOCの負担費用について「数億ドル(数百億円)」と発言。正式な試算額が発表される前に“けん制”を仕掛けた(本紙既報)。当時は水面下の駆け引きレベルだったが、いまやバトルは目に見えて激しさを増している。
3000億〜6000億円の追加費用を負担するのは原則として組織委、東京都、日本政府。そこへIOCがどれだけ負担金を支払うのかが焦点となってきたが、このままでは完全にIOCにペースを握られる一方だ。昨年のマラソン・競歩の札幌移転騒動の際にも、完全にIOCに主導権を取られた。今回もその二の舞いになってもおかしくない。結局、1年延期となっても国民の血税がつぎ込まれそうだ。
https://www.tokyo-sports.co.jp/sports/1825587/
【どうなる?東京五輪パラリンピック(23)】なぜ、こんなことが起きたのか。新型コロナウイルス感染拡大により1年延期となった東京五輪の追加費用に関し、国際オリンピック委員会(IOC)は公式ホームページで安倍晋三首相(65)が費用負担に同意した旨の文書をアップ。日本側は猛反発し、大会組織委員会の抗議によって該当箇所は削除、訂正された。一国の総理の名が引用されたとあって、日本政府も混乱に巻き込まれたが、不可解なドタバタ劇の裏にはIOCの“ある疑惑”が浮上。その真相とは――。
「Abe Shinzo」の文字がIOC公式ホームページ上に記載されたのは日本時間21日。1年延期となった東京五輪の追加費用についてQ&A方式の文書の中で「安倍晋三首相が現行の契約条件に沿って引き続き日本が負担することに同意した」と明示した。これには日本政府が即座に反応。延期が正式に合意された3月24日夜、安倍首相とIOCトーマス・バッハ会長(66)の電話会談の場に居合わせた橋本聖子五輪相(55)は「どう翻訳されたか分からないが、驚いた」と不快感を示した上で「合意した事実はない」ときっぱり否定。同じく菅義偉官房長官(71)も事実無根を主張した。
この後に組織委のリモート会見がもともと予定されていたが、不測の事態が重なったため対応した高谷正哲スポークスマン(41)も大わらわ。出席したメディアからは“不適切な文書”への対処に関する質問が大半を占め、高谷氏は「双方が合意した内容を超え、このような形で総理の名前が引用されたことは適切でない」と組織委の見解を主張。該当箇所の削除をIOC側にメールで求めたことを明かした。森喜朗会長(82)も「安倍首相の名前を出したことは極めて遺憾」と述べた。
問題はここからだ。会見終了から約1時間後、日本側から抗議を受けたIOCはすぐにサイトを修正。問題の箇所は削除され「IOCと日本側は延期による影響を共同で評価し、議論していく」と当たり障りのない表現に差し替えられたのだ。ある競技団体幹部が「実は日本側は密室で費用負担に同意していたのか」と推測したように、削除依頼に対する迅速過ぎる対応に不信感を抱く関係者は多い。
何の抵抗もなく素直に日本側の主張を受け入れ、180度違う見解を更新した点は確かに不可解。これはズバリ、IOCの「確信犯」説が有力だ。安倍首相の名を使い、誤った文書をあえて掲載してマネーゲームを優位に運ぶことが狙い…とみられる。
実際、約1週間前にもバッハ会長がドイツメディアのインタビューでIOCの負担費用について「数億ドル(数百億円)」と発言。正式な試算額が発表される前に“けん制”を仕掛けた(本紙既報)。当時は水面下の駆け引きレベルだったが、いまやバトルは目に見えて激しさを増している。
3000億〜6000億円の追加費用を負担するのは原則として組織委、東京都、日本政府。そこへIOCがどれだけ負担金を支払うのかが焦点となってきたが、このままでは完全にIOCにペースを握られる一方だ。昨年のマラソン・競歩の札幌移転騒動の際にも、完全にIOCに主導権を取られた。今回もその二の舞いになってもおかしくない。結局、1年延期となっても国民の血税がつぎ込まれそうだ。