醜聞まみれ 高校野球の虚像#1
出席した保護者たちは、一様に落胆の色を隠せなかった。
山内弘和前監督らによる部費や遠征費の私的流用が発覚した開星高校野球部で、保護者会が開かれた。
3月下旬、「腹切り発言」で話題になった野々村直通監督が8年ぶりに現場復帰する直前のことである。
会では、前監督らの私的流用の実態とともに、生々しい部員への体罰の事実も明らかにされたという。開星高校関係者の話。
「部費は部員1人当たり月1万円で、年間で総額1000万円近くになる。今年3月限りで学校を退職した山内前監督ら指導者は、
部費や練習試合などの遠征の際に部員から徴収する費用の一部を、まるで自分のお金のように使い込んでいた。ある時期の
1週間は5日も焼き肉店で外食をし、遠征先ではキャバクラ代や締めのラーメン代まで部の経費を充てていたようです。
一方で部員は、練習の際の弁当代さえ自腹でした。体罰に関しては2017年6月、関西の強豪校との練習試合で先発した投手
が初回から打ち込まれたことに激怒。すぐさま降板させると、ベンチで延々と暴言を浴びせ続けた。その投手は泣きじゃくり、過
呼吸と脱水症状で救急車で運ばれたということでした。山内前監督を信頼していた保護者たちは大きなショックを受けていました」
■多額の使途不明金
保護者会は今年の2月以降、山内前監督が退任し、野々村監督が復帰する新体制になるのを契機に、部の会計に関する調査
を学校側に依頼していた。保護者会と学校側が、18年度の新チームが発足した同年8月から今年の3月上旬にかけての金融
機関の通帳や会計帳簿からお金の動きを洗いざらい調べた結果、ズサンな会計が判明。3万円、5万円単位の使途不明金が
どんどん出てきて、中には数十万円に上るものもあったという。地元の高校野球関係者が明かす。
「山内前監督らもハッキリと覚えていない支出もあったようです。今回は業務上横領に該当する事件ですが、前監督らが私的流
用の事実を認め、保護者に約300万円を返金することで示談。すでに示談金は支払われ、関与した野球部長は副校長の職を
解かれるなど処分を受けた。野々村監督による新体制のもと、部員たちができるだけ早く落ち着いて練習できるようにとの配慮も
あり、保護者会は警察への被害届を見送ることにしました」
日刊ゲンダイは昨年11月、山内前監督が部員に約30キロの罰走を命じるなど日常的に体罰を科していると報じた。が、体罰の
みならず、あろうことか保護者が汗水垂らして働き、野球部に納めていたカネで私腹を肥やしていたのだ。部員、保護者に対する
裏切り行為に他ならない。
開星野球部で発覚した不祥事は、全国の高校野球界ではあくまで氷山の一角に過ぎない。西日本のある強豪校には、まだオモ
テには出ていない暗部がある。 (つづく)
ゲンダイ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200416-00000009-nkgendai-base