昨年秋のドラフトで最も注目を集めた選手といえば「令和の怪物」佐々木朗希(大船渡高)だった。
物議を醸した岩手県大会決勝戦の登板回避によって、甲子園の出場こそ叶わなかったものの、花巻東高時代の大谷翔平(エンゼルス)の
160キロを超える歴代高校生最速の163キロを見せつけられた各球団の編成担当者は「即戦力に近い未完の大器。
プロに入っても間違いなくトップレベルの選手に育つだろう」(石井一久・楽天GM)、「一番すごいのは将来性だ。こんな選手はなかなか出てこない」(渡辺久信・西武GM)など誰もが大絶賛。
結局1位に指名した日本ハム、西武、ロッテ、楽天のパ・リーグ4球団での抽選の結果、ロッテへの入団が決定した。
それ以来、マスメディアやファンの佐々木への注目は高くなる一方で、沖縄県の石垣島で行われた春季キャンプには佐々木を一目見ようと例年の3倍以上のファンが押し寄せてきたというから、期待の大きさが分かるというものだ。
実力と人気を兼ね備えた、久しぶりに登場したスーパールーキーといってもいいだろう。
しかし、これまでのプロ野球の歴史を振り返っても、高校を出たばかりのピッチャーがいきなり1年目から活躍するのは並大抵のことではない。
2000年以降で10勝以上をマークしたのは07年の田中将大(駒大苫小牧高→楽天)11勝、13年の藤浪晋太郎(大阪桐蔭高→阪神)10勝のわずかに2人だけだ。
藤浪はセ・リーグでは江夏豊(大阪学院高→阪神)以来46年ぶりという高卒新人の二けた勝利を記録し、1年目から早くもその素質を開花させたが、
この藤浪や田中、さらにもう少しさかのぼって1999年に16勝を挙げ、新人王と最多勝を獲得した松坂大輔(横浜高→西武)、彼らは“例外中の例外”といってもいいくらいの稀な存在。
「将来のエース候補」「大成間違いなし」との高い評価を受けてプロ入りしても、1年目はおろかその後もほとんど活躍することなく人知れず球界を去っていく、そんな選手が少なくないのが厳しい現実なのだ。
では、ルーキーイヤーの今シーズン、佐々木ははたしてどこまで活躍できるのだろうか? 日本ハムやダイエー、中日などで活躍した、野球評論家の武田一浩氏に聞いてみた。
「まだVTRをチェックしただけで実際には見ていないけど、VTRからも素質の高さが十分にうかがえるね。
高校を出たばかりなのにVTRを通じてあれだけの迫力が伝わってくるピッチャーというのはなかなかいないよ。大谷(翔平)君が入ってきた時にも同じような印象を受けた。
たしかに力はずば抜けている。何十年に1人出るか出ないかという、それぐらいのピッチャーであることは間違いないね。
佐々木君のいいところは190cmという長身で、しかも足を高く上げるフォームにもかかわらずバランスや立ち姿が非常によくてしっかりしているということ。
おそらく体幹が相当強いんだろうけど、これは鍛えようと思ってもできるものではない。持って生まれた、彼の財産だね」
さらに武田氏は、これまで多くの高卒ピッチャーがプロで大成できなかった理由として、高校を出たばかりでプロでやっていく体がまだできていないうちに無理をさせるからだとして、こんな話を続けた。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200220-00609496-shincho-base
2/20(木) 5:59配信