中日・小笠原慎之介投手(22)が7日、昨年末から約1週間にわたって訪れたドミニカ共和国で、同国を代表する剛腕から金言を授かったことを明かした。
現地で対面したのはメジャー951試合登板、通算327セーブのフェルナンド・ロドニー投手(42)。
生けるレジェンドに感化され、「悲」「苦」といった負の感情とおさらば。前向きに、どん欲に進む今年の漢字として「貪」を選択した。
異国で人生観が変わった。少なくとも今の小笠原はそう思っている。左肩痛で悩み、暗い空気をまとったのは過去。
ニコニコと陽のオーラを放ちながらドミニカ共和国ライフを振り返った。
「一度行ってみたかったんです。行ってみないと分からないことだらけです。向こうの人は苦しまない。すべてを楽しんでいます。
苦しい練習に耐えた先に大きな喜びがあるというのは日本的考え。そんなの早く捨てた方がいいです」
小笠原流に説明すると、苦しんだ先に好結果が待っているとは限らない。そんなのただの願望。ひたすら楽しめば、いつだって前向きでいられるという。
刺激はウインターリーグの試合だけではなかった。街を走るバスは、ぎゅうぎゅう詰めなのにドアは外れたまま。治安も悪い。
そんな環境でも、思い切って話し掛けた選手たちはみな笑顔。現状を受け入れ、不満は口にしない。
「野球は楽しむもの」と繰り返していた。
突撃取材したい相手も見つけた。マリナーズに所属した2014年には最多セーブに輝いたナショナルズのロドニー。
ドミニカ共和国を代表する右腕から聞いた言葉は、新鮮だった。
「抑えた理由が分からない時もある。毎日が勉強だよ」
知人を介して、現地で初対面した。短い時間ながら、交わした会話は胸に残った。特に響いたのが「毎日が勉強だ」の言葉だった。
ロドニーは、イチローの引退によってメジャー最年長となった42歳。それでも現役バリバリで、昨季はアスレチックスとナショナルズで計55試合に登板した。
マイナーからはい上がり、メジャー11球団を渡り歩いた猛者が今も「勉強だ」と、前を、そして上を向く。
22歳にとって、人生観を変えた出会い。そして今年の漢字に選んだのが、どん欲さを示す「貪」だ。ちなみに、故障に悩んだ昨年の漢字は「何」だという。
「去年のオレ、何やってたの?何だったの?と。今年はどん欲の『貪』です。楽しんで、どん欲に野球に取り組みます」
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/dragons/news/202001/CK2020010802000106.html
購入したマクラーレンを披露する小笠原=名古屋市内で(今泉慶太撮影)