引退から早1年が経っても、沖縄の非常事態に名前が取り沙汰されるのは地元を代表する「スター」ゆえか。表舞台を去ってからというもの、全く近況を耳にしない安室奈美恵(42)に、「首里城」再建を託す声が上がっている。さて、「安室ちゃん、お願い!」の声に歌姫はどう応えるか。
正殿、北殿をはじめ、主だった七つの棟が一夜にして灰燼に帰し、焼失面積は実に4200平方メートルに及ぶ。33年間の長きにわたる復元プロジェクトが今年2月に終わりを見た、直後の災厄だった。発災から2週間が過ぎ、「沖縄のシンボル」再建に向けた動きも活発になっている。
地元記者によれば、
「官邸を訪れて支援を求めた玉城デニー沖縄県知事に対して、菅官房長官は全面支援を約束しました。ただ、再建に要する費用については未知数。今回、焼失した施設は国が73億円かけて復元したわけですが、同じ金額で再建できるとは思えません。材料費、人件費の高騰に加え、赤瓦や外壁の漆塗りに携わる職人を確保できるかも大きな課題です。再建に要する費用は100億円以上にのぼるのでは、との声もあります」
那覇市が募った支援金はすでに4億円を突破したものの、まだ「100億円」にはほど遠い。首里城を管理する「沖縄美(ちゅ)ら島(しま)財団」は、美ら海水族館などと合わせて限度額70億円の火災保険に加入しているが、今回の件で実際にいくら支払われるかは分からない。
そんな沖縄の窮地に浮上したのが、「安室奈美恵に楽曲制作を依頼する」というプランだった。発案した、日本維新の会の下地幹郎衆院議員によれば、
「前回の復元プロジェクトは国費でしたが、今回は戦争や天災が原因で焼失したのではありません。国費に頼ることでむしろ沖縄が批判される可能性もある。県に責任があるからこそ、沖縄の総力戦で再建すべきだと考えています」
そして、その「シンボル」として、引退した安室を担ぎ出そうというワケだ。
だが、沖縄に縁のあるアーティストは彼女だけではない。それこそ、今井絵理子・防災担当政務官がSPEEDを復活させて、チャリティーコンサートを開くのも手だろう。しかし、
「沖縄県がお願いするとしたら安室さんしかいないと思います。確かに彼女は引退されていますが、『NEVER END』を歌って沖縄サミットを盛り上げるなど、まさに県を象徴するアーティストです。彼女の生き方からして動いてくれる可能性もあるのではないか」(同)
下地氏は「安室さんには“経済効果”ではなく、沖縄県民の心をひとつにしてほしい」と言うが、何しろ、引退した2018年だけでCDなどの総売上が190億円を記録したトップアーティストである。巨額の復元費用を前に、彼女にひと肌脱いでもらえればと願うのも無理はない話だ。
だが、これにはネット上で〈安室ちゃんを政治利用しないで〉〈都合いい金儲けマスコットか何かだと思ってるわけ?〉といった批判が相次いでいる。
芸能記者に言わせると、
「安室は引退以降、オフィシャルサイトやフェイスブックまで閉鎖して、今回の件についてもコメントしていませんからね。ただ、彼女がチャリティーに熱心なのは事実。東日本大震災では、日本赤十字社を通じて義捐金5千万円を贈ったと報じられました。とりわけ今回は故郷の危機なので、“電撃復活”がないとは言い切れません」
無論、苦しい時の「安室」頼みには違いない。が、令和の悲劇を乗り越えるために熱唱する「平成の歌姫」を見てみたい気はするのだ。
「週刊新潮」2019年11月21日号 掲載
11/20(水) 5:58配信 デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191120-00593317-shincho-ent
正殿、北殿をはじめ、主だった七つの棟が一夜にして灰燼に帰し、焼失面積は実に4200平方メートルに及ぶ。33年間の長きにわたる復元プロジェクトが今年2月に終わりを見た、直後の災厄だった。発災から2週間が過ぎ、「沖縄のシンボル」再建に向けた動きも活発になっている。
地元記者によれば、
「官邸を訪れて支援を求めた玉城デニー沖縄県知事に対して、菅官房長官は全面支援を約束しました。ただ、再建に要する費用については未知数。今回、焼失した施設は国が73億円かけて復元したわけですが、同じ金額で再建できるとは思えません。材料費、人件費の高騰に加え、赤瓦や外壁の漆塗りに携わる職人を確保できるかも大きな課題です。再建に要する費用は100億円以上にのぼるのでは、との声もあります」
那覇市が募った支援金はすでに4億円を突破したものの、まだ「100億円」にはほど遠い。首里城を管理する「沖縄美(ちゅ)ら島(しま)財団」は、美ら海水族館などと合わせて限度額70億円の火災保険に加入しているが、今回の件で実際にいくら支払われるかは分からない。
そんな沖縄の窮地に浮上したのが、「安室奈美恵に楽曲制作を依頼する」というプランだった。発案した、日本維新の会の下地幹郎衆院議員によれば、
「前回の復元プロジェクトは国費でしたが、今回は戦争や天災が原因で焼失したのではありません。国費に頼ることでむしろ沖縄が批判される可能性もある。県に責任があるからこそ、沖縄の総力戦で再建すべきだと考えています」
そして、その「シンボル」として、引退した安室を担ぎ出そうというワケだ。
だが、沖縄に縁のあるアーティストは彼女だけではない。それこそ、今井絵理子・防災担当政務官がSPEEDを復活させて、チャリティーコンサートを開くのも手だろう。しかし、
「沖縄県がお願いするとしたら安室さんしかいないと思います。確かに彼女は引退されていますが、『NEVER END』を歌って沖縄サミットを盛り上げるなど、まさに県を象徴するアーティストです。彼女の生き方からして動いてくれる可能性もあるのではないか」(同)
下地氏は「安室さんには“経済効果”ではなく、沖縄県民の心をひとつにしてほしい」と言うが、何しろ、引退した2018年だけでCDなどの総売上が190億円を記録したトップアーティストである。巨額の復元費用を前に、彼女にひと肌脱いでもらえればと願うのも無理はない話だ。
だが、これにはネット上で〈安室ちゃんを政治利用しないで〉〈都合いい金儲けマスコットか何かだと思ってるわけ?〉といった批判が相次いでいる。
芸能記者に言わせると、
「安室は引退以降、オフィシャルサイトやフェイスブックまで閉鎖して、今回の件についてもコメントしていませんからね。ただ、彼女がチャリティーに熱心なのは事実。東日本大震災では、日本赤十字社を通じて義捐金5千万円を贈ったと報じられました。とりわけ今回は故郷の危機なので、“電撃復活”がないとは言い切れません」
無論、苦しい時の「安室」頼みには違いない。が、令和の悲劇を乗り越えるために熱唱する「平成の歌姫」を見てみたい気はするのだ。
「週刊新潮」2019年11月21日号 掲載
11/20(水) 5:58配信 デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191120-00593317-shincho-ent