パ・リーグで今季、一つの“異変”が起きた。規定投球回到達投手が2リーグ制後最少の6人。山本(オリックス)、高橋礼(ソフトバンク)は最終戦での到達で、一時は3人という時期もあった。
前例のない異例の事態となった要因を、現場の声から探る。
(プロ野球取材班)
今季、パで規定投球回(143イニング)をクリアした投手は、過去最少だった1954年と昨年のセの8人を下回る6人だった。
150イニング超は有原、千賀、山岡の3人だけで、山本、高橋礼、美馬はギリギリでの到達。投手の起用延べ人数は別表の通り、昨季から全球団が増加した。
現場を預かるコーチは、異常事態の原因を次のように分析した。
〈1〉主力先発投手の故障、不振 昨季、規定投球回をクリアした岸、上沢、マルティネス、則本昂が今季は故障離脱。
涌井や多和田は不振に苦しんだ。ロッテの吉井投手コーチは「ウチは涌井と石川、二木が途中で調子を落とした。他球団でも常連組の則本昂、岸や、バンデンハークが故障でいなくなった影響がある。
今季は各チームのエース級が不調、故障でいなかった」と分析した。
〈2〉エース流出、若手台頭の過渡期 チームに在籍していれば、現在も先発の中心だったであろう投手が流出傾向にある。
メジャー組ではダルビッシュ(元日本ハム)、田中(元楽天)。昨オフは菊池が西武からマリナーズ、西がオリックスから阪神に移籍した。
日本ハム、ソフトバンクでもコーチを務めた吉井コーチは「若手で次のエース候補が育ってきていないのもある」。エース級が流出する一方、現在は若手が一本立ちするまでの過渡期にあるとみている。
〈3〉戦略の変化 日本ハムは上沢、マルティネスが故障したこともあり、有原の先発日以外は、ショートスターターなどを駆使してやり繰りした。昨季、先発で5回未満で降板したのは27度。
今季は65度に激増した。特に2回未満での降板は1度から10度。日本ハムの木田投手コーチは「有原以外の投手はいろいろな役割をやってもらった。
金子にも2番手で投げてもらったり、早めに代わってもらったりしながら、チームとして戦った」。2人の柱が故障したことで最多勝2度の金子を先発、リリーフ双方で起用。
必然的に規定クリアの可能性は、有原一人に絞られた。
投手分業制が確立し、今年は「オープナー」や「ブルペンデー」などを取り入れる球団も現れた。セ・リーグの規定投球回到達も、昨年より1人増えたが、9人。
両リーグともに2年連続で1ケタにとどまった。
「規定投球回」はチーム試合数×1・0となった1964年以降、55年間変更されていない。
日本野球機構(NPB)の関係者によると、規定改正の動きはないというが、先発完投型の投手に贈られる沢村賞を巡っては、
実情に合わせた選考の必要性を指摘する声も多く出ている。規定投球回の改正の必要も出てくるかもしれない。
◆2ケタ完投のチーム0はパ初
パ・リーグは規定投球回以上投手が6人、全体で19完投。ともに2リーグ制(50年)後、両リーグ最少だった
。2ケタ完投チームなしは16、17年セと3度目、パ初。セは広島1球団だけで、両リーグ合わせて2ケタ完投が1チームは、16年(ロッテ)と2度目(754ホールドは昨年の617Hを抜き最多)。
日本ハムはシーズン1完投。これまでセ4度(10、11年横浜、昨年DeNA、13年中日)、パ1度(昨年オリックス)の2完投を下回る最少記録。延べ登板投手684人は、11年横浜の664人を抜く、シーズン最多人数だった。
◆米も減少傾向 メジャーの規定投球回(162)入り、2000年には両リーグで82人いたのが、昨年55人、今季56人と減少傾向だ。それでも30球団の平均は1・87人。日本の1・25人は少なすぎる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191003-00000007-sph-base
10/3(木) 7:38配信
前例のない異例の事態となった要因を、現場の声から探る。
(プロ野球取材班)
今季、パで規定投球回(143イニング)をクリアした投手は、過去最少だった1954年と昨年のセの8人を下回る6人だった。
150イニング超は有原、千賀、山岡の3人だけで、山本、高橋礼、美馬はギリギリでの到達。投手の起用延べ人数は別表の通り、昨季から全球団が増加した。
現場を預かるコーチは、異常事態の原因を次のように分析した。
〈1〉主力先発投手の故障、不振 昨季、規定投球回をクリアした岸、上沢、マルティネス、則本昂が今季は故障離脱。
涌井や多和田は不振に苦しんだ。ロッテの吉井投手コーチは「ウチは涌井と石川、二木が途中で調子を落とした。他球団でも常連組の則本昂、岸や、バンデンハークが故障でいなくなった影響がある。
今季は各チームのエース級が不調、故障でいなかった」と分析した。
〈2〉エース流出、若手台頭の過渡期 チームに在籍していれば、現在も先発の中心だったであろう投手が流出傾向にある。
メジャー組ではダルビッシュ(元日本ハム)、田中(元楽天)。昨オフは菊池が西武からマリナーズ、西がオリックスから阪神に移籍した。
日本ハム、ソフトバンクでもコーチを務めた吉井コーチは「若手で次のエース候補が育ってきていないのもある」。エース級が流出する一方、現在は若手が一本立ちするまでの過渡期にあるとみている。
〈3〉戦略の変化 日本ハムは上沢、マルティネスが故障したこともあり、有原の先発日以外は、ショートスターターなどを駆使してやり繰りした。昨季、先発で5回未満で降板したのは27度。
今季は65度に激増した。特に2回未満での降板は1度から10度。日本ハムの木田投手コーチは「有原以外の投手はいろいろな役割をやってもらった。
金子にも2番手で投げてもらったり、早めに代わってもらったりしながら、チームとして戦った」。2人の柱が故障したことで最多勝2度の金子を先発、リリーフ双方で起用。
必然的に規定クリアの可能性は、有原一人に絞られた。
投手分業制が確立し、今年は「オープナー」や「ブルペンデー」などを取り入れる球団も現れた。セ・リーグの規定投球回到達も、昨年より1人増えたが、9人。
両リーグともに2年連続で1ケタにとどまった。
「規定投球回」はチーム試合数×1・0となった1964年以降、55年間変更されていない。
日本野球機構(NPB)の関係者によると、規定改正の動きはないというが、先発完投型の投手に贈られる沢村賞を巡っては、
実情に合わせた選考の必要性を指摘する声も多く出ている。規定投球回の改正の必要も出てくるかもしれない。
◆2ケタ完投のチーム0はパ初
パ・リーグは規定投球回以上投手が6人、全体で19完投。ともに2リーグ制(50年)後、両リーグ最少だった
。2ケタ完投チームなしは16、17年セと3度目、パ初。セは広島1球団だけで、両リーグ合わせて2ケタ完投が1チームは、16年(ロッテ)と2度目(754ホールドは昨年の617Hを抜き最多)。
日本ハムはシーズン1完投。これまでセ4度(10、11年横浜、昨年DeNA、13年中日)、パ1度(昨年オリックス)の2完投を下回る最少記録。延べ登板投手684人は、11年横浜の664人を抜く、シーズン最多人数だった。
◆米も減少傾向 メジャーの規定投球回(162)入り、2000年には両リーグで82人いたのが、昨年55人、今季56人と減少傾向だ。それでも30球団の平均は1・87人。日本の1・25人は少なすぎる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191003-00000007-sph-base
10/3(木) 7:38配信