元広島の前田智徳氏（48）の次男で、慶応（神奈川）の右腕・前田晃宏投手（1年）が大一番で力投を見せたがチームは敗れ、来春センバツ出場は絶望的となった。
連投となった先発の前田は、5回まで得点圏に4度走者を許すも、無失点で切り抜けた。しかし6回、制球が乱れて2死満塁とし、桐光学園の9番打者に走者一掃の適時打を浴びた。「チェンジアップが甘くなりました。失投です。全部未熟でした」と悔やんだ。
直球は130キロ前後。「球が速いわけではないので、リズムを変えて投げることは新チーム開始から、ずっと意識していました」と練習通り、セットポジション静止から投球動作開始までの時間までを微妙に変え、さらに変化球で緩急もつけ、桐光学園打線に的を絞らせなかった。3点適時打を浴びた1球が、全てを暗転させた。
切れ長の目は、父・智徳氏によく似ている。親戚に慶応出身者が何人かいたこともあり、地元広島からの進学を選んだ。「よく前田の息子、前田の息子、って言われますが、父と違って実力もない。少しでも早く周りの先輩たちに追いつくのが、自分の目標です」と言う。
学びの日々だ。この日投げ合った桐光学園のプロ注目左腕・安達壮汰投手（2年）は初回の失点以外は、全てのピンチをしのいだ。「ああいう人と投げ合えたのはいい経験になります。神奈川の（他の）選手たちと比べて、まだ力は劣るし、太刀打ちできない。地に足をつけてしっかり練習して、神奈川のライバルたちと戦えるようになりたい」と、姿勢はいたって謙虚だ。
信念ある投球を貫き、大勢の高校野球ファンにしっかりと存在を示した秋。これから楽しみな存在になりそうだ。
◆前田晃宏（まえだ・あきひろ）。2003年8月15日生まれ。広島市出身。広島市立牛田中時代は広島ボーイズに所属し、全国選抜の「NOMOジャパン」にも選ばれた。右投げ右打ち
[2019年9月15日20時45分]
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