久保建英がレアル・マドリードでその名を刻み始めた。それは抽象的でも、具体的でもある。たとえば、彼はクラブスタッフやトップチームの面々にクボと呼ばれることを嫌い、その呼び名をタケに統一しようとしている。
カナダ・モントリオールでの1週間余りの合宿で、この若きサムライは純然たる才能と、意思の強さを早々に誇示しているのだ
バルセロナが久保を再獲得し損なった責任の在り処を探しているのを横目に、レアル・マドリードの久保にかける期待はさらに膨れ上がっており、それは彼の将来に関する議論すらも呼び起こしている。久保は当初、Bチームであるレアル・マドリード・カスティージャのための補強選手だった。しかしクラブは、リーガ・エスパニョーラ1部のクラブにレンタルで放出し、世界トップレベルの経験を積ませる可能性を視野に入れ始めたのである。
久保のレアル・マドリード加入が発表されて以降、リーガ1部の多くのクラブが彼をレンタルで獲得できる可能性があるかを模索するために、レアル・マドリードに問い合わせを行なっている。そのうちの1クラブは、元日本代表FW城彰二がかつて在籍したバジャドリード。元ブラジル代表で、レアル・マドリードでもプレーしたロナウドが会長を務めるクラブである。
バジャドリードなど1部クラブから連絡があったことで、レアル・マドリードの内部では久保をどう扱っていくかについての議論が行なわれることになった。彼をレンタルで放出することを希望するのは、フロンティーノ・ペレス会長を筆頭とするグループである。その理由は、カスティージャの所属するリーガ2部B(実質3部)が、日本人FWにとって理想的な舞台ではないとの考えからだ。
ベテランたちで構成されたチームも数多く所属する、セミプロ扱いの2部Bは、度を超えた激しいプレーが横行し、なおかつアウェーのピッチコンディションは劣悪だ。ペレス会長のグループは、久保が日本代表として臨んだコパ・アメリカでも十分に通用するプレーを見せたことで、わざわざ過酷な環境に身を置く必要性を感じていない。
その一方でクラブ内には、久保を予定どおりカスティージャでプレーさせるべき、今季から同チームを率いるラウール・ゴンサレス監督の側で学ばせるべき、と声を挙げるグループも存在する。
こちらの主張は、久保がまだ成長途上であり、適切なプロセスを踏ませるためには自クラブにとどめたほうが良い、という考えに基づいている。つまりトップチームのスターになれる器の選手を、無責任にも他クラブに預けることに反対しているわけだ。
こちらのグループには下部組織のコーチングスタッフたちも含まれているが、彼らは久保が当初考えられていたよりも完成度の高い選手であったことを認めつつも、フィジカル面をはじめとして、まだまだ向上できる部分が多く残されていることを指摘。
そのためにリーガ1部という、すぐにでも結果を求められる強烈なプレッシャーにさらされる場所ではなく、自クラブで責任を持って成長を促すことこそが最善と説いている。
また、レアル・マドリードの生ける伝説であるラウールもこちらのグループの一人で、カスティージャを2部に昇格させるという目標を果たすためにも、久保を自チームのエースに据えることを希望している。
久保が今季どこでプレーするかについて、結論が導き出されるのはこれからだ。もちろん、トップチームのジネディーヌ・ジダン監督が、バイエルン、アーセナル、アトレティコ・マドリードらとのプレシーズンマッチをこなしていきながら固めていく考えも、大きな重みを持つことになる。
7/19(金) 17:57配信 スポルティーバ
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190719-00865870-sportiva-socc
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