【芸能界クロスロード】
ジャニー喜多川さん(本名・喜多川擴=享年87)の葬儀までの段取りは完璧なものだった。亡くなった翌10日からは所属タレントが順次、メディアでジャニーさんとの思い出を語った。
迎えた12日の家族葬(写真)は異例な形だった。生涯独身だったジャニーさんのために集まったのは現役タレント150人。遺影を前に一堂に会した記念写真が配られた。
涙はない笑顔の別れ。半世紀にわたり男性アイドルをつくり続けた功績を称えていた。
そこには対外に向けたメッセージも含まれていたように思える。ジャニーズ事務所は所属タレントが結婚式をやらないように、冠婚葬祭を公にやることは原則なかった。
黒子に徹していたジャニーさんならなおさら密葬という形で済ませてもおかしくないが、メッセージや写真を提供するなど一部を公にした。
多くの男性アイドルをつくり上げ、ショーをつくってきたジャニーさん。ギネスブックに載るなど特別な存在だったこともあるが、家族葬には別な意味もあるという。
「タレントの独立や事務所の不協和音を懸念する話がしきりに流れていただけに、
葬儀をきちんと仕切れば、ファンだけでなく業界に対しても“ジャニー社長の遺志を引き継ぎ、残された者で一丸となって進んでいく”というアピールになった」(芸能プロ関係者)
雑音は葬儀と共にシャットアウトした感もある。ともあれ、ジャニーさんの葬儀は滞りなく終わった。
すでにタレントに笑顔も戻り、一段落しているが、諸問題もくすぶっている。真っ先に直面するのがお墓の問題。喜多川家先祖代々の墓か、
それとも事前にジャニーさんが墓地を購入しているのか、墓所を公表するかどうか難しい問題がある。今回の家族葬は「青山斎場」など公的な場所でなく、
滝沢秀明がジュニアを育てるスタジオとしてジャニーさんが生前に用意していた「ジャニーズアイランド」の稽古場で行われた。
近年、所属タレントも忠告している一部の過激ファンが押し寄せることを避ける目的もあったのだろうが、墓はそうはいかない。
本来、月命日などタレントがいつでも墓参りできるような形が望ましいが、墓は「聖地」と化し、ファンも押し寄せれば大混乱を招く。対応が待たれる。
ジャニーさんから引き継いだ滝沢の育成も課題はある。滝沢社長はすでに引き継いだグループを舞台に立たせているが
、舞台の演出や構成はジャニーさんのそばで見聞していたノウハウを基盤に徐々に滝沢色を出していくとみられている。
問題は少年の発掘。ジャニーさんは履歴書の写真を見ただけで少年の10年先まで見えるという独特の感性があった。
舞台演出と違い、感性は教えられない。滝沢の感性でどんな原石を見つけることができるかは未知数である。
タレントをつくった後は売り出し方。これまでジャニーさんが育成したタレントを姉で副社長のメリー喜多川氏が売り出した。
姉と弟の両輪で実績を上げてきたが、今度は両輪が代わる。売る側はメリー氏の娘でジャニーさんの姪になる藤島ジュリー景子氏が務めるとみられている。
姉弟の間には自然に阿吽の呼吸があったが、ジュリー氏と滝沢の間はもともと事務所幹部とタレントの関係。
そうすんなりと事は運ばないと思われている。果たして、家族葬で見せた“絆”でどう乗り切っていくのか――。
https://news.livedoor.com/article/detail/16790372/
2019年7月18日 9時26分 日刊ゲンダイDIGITAL