テレビでよく見かける芸能人ならば、金銭的にはかなり潤っているから奇妙な仕事をする必要はないと誰もが思うだろう。
ところが、のちに振り込め詐欺で逮捕されるグループの忘年会に複数の芸人が加わっていたことが発覚した。
参加した側はノーギャラだったと証言しているが、招いた側は出演料を支払ったと主張している。
有名芸能人が不自然な会社や団体と関わってしまう背景について、ライターの宮添優氏がレポートする。
元暴力団員で、渋谷のクラブ運営にも関わった経験があるというM氏(40代)は、
半グレや暴力団などの反社会勢力がなぜ、芸人を呼びたがるのかについて、次のように解説をする。
「反社の連中は、詐欺などである程度の金を持つと、別の会社を立ち上げて表向きは“普通の会社”を運営しているように見せかけます。
そして見栄っ張りだから、表向きの会社を利用してホテルを貸し切って忘年会したり、派手に遊ぶわけです。
そういう時に、芸人やモデルなど、有名人が参加してくれれば格が上がるでしょう? 少なくとも、彼ら自身は格が上がると思っている。
芸人を呼ぶには金だけじゃなくコネもいる。あいつらは芸能界にもコネがあるのか…なんて思わせれば、思い切り悦に浸ることができるのです」(M氏)
かつて、複数の演歌歌手が暴力団の会合に出演し、NHK紅白歌合戦への出場を取り消されるという事件もあったが、
やはり芸能界と反社勢力は切っても切れない関係、ということなのか。
にしても、いくら表向きは「普通の会社」の会合を取り繕っていようとも、相手がどういうスジの人間かは理解できないのか?
前述のクラブイベント主催者は次のように断言する。
「会合の参加者を見れば、一発でわかるはずなんですけどね。金(ギャラ)だって受け取らないはずがない。
受け取ってないとすると、それは闇営業ですらなく、本当に知人関係があったと認めているようなもの。
ノーギャラだったというのは、どうしても説明がつかないでしょうね。金がもらえるから行っただけ。
取り分は1本(100万円)とか言われていますが、忘年会新年会であれば、それくらいは支払われます」
暴力団が社会から締め出され、芸能人らにも「コンプライアンス」にまつわる厳しい監視の目が光る昨今。
テレビで冠番組まで持つような中堅以上の芸人たちが、いくら高額謝礼をもらえるからといえ、反社勢力と関わりを持つとはなかなか考えにくいが…。
「飯を食わせてもらい、酒も飲ませてもらい、小遣いまでくれる。こんな親分肌の人間を前にすると、別に金には困っていなくとも、大抵の人間は尻尾を振ってしまう。
極端な場合は、売れない芸人の中には“親分”を紹介しあったり、取り合ったりでいざこざを起こす奴もいるほどです。
こうして若いうちに培った“関係”は、売れ始めてからも解消はされないどころか、今度は親から子への”要求”が始まるのです。
イベントに来い、事業のPRをしろ…親に逆らえるわけがありません。すでに女や薬系のネタを親に握られている場合もあり、
まんまと裏社会に取り込まれていたことに後から気がつくのです」(都内の芸能事務所社員)
なぜあの人が、そんな割に合わない付き合いをしているのか。
芸能人と反社会勢力とのつきあいは、いったん結んでしまったが最後、成功をおさめても縁切りできないものらしい。
そこには、かつてと違って現在は、芸人だけではなくモデルやタレントなど“芸能人”の数が増え続けたため、
たとえ仕事があったとしても割り振られる「ギャラ」が減ったことも影響しているという。
売れない「有名人」が増え続けることで、こうした問題は今後も増えていくのではないかと関係者は危惧している。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190611-00000004-pseven-soci