日本代表が3月にコロンビアとボリビアとのキリンチャレンジカップに挑む。相手の2か国はいずれも南米とあって、6月に開催されるコパ・アメリカの前哨戦という位置づけだ。つまり本大会のメンバー編成を決めるうえで、選手にとっては重要なアピールの場となりそうだね。
でも、ここに来て故障者が続出しているのは不安だ。遠藤(左太もも痛)、青山(右膝痛)などがいまだに戦列復帰できていないし、長友まで再び負傷(左膝後十字靭帯損傷)してしまった。
彼らの回復具合は気になるところで、もしもこの3月シリーズに間に合わないようであれば、新たなメンバーが選ばれるかもしれない。
誰が入るのか、初招集はいるのか、などメンバー選考については気になるポイントは少なくない。特に注目したいのは、FWの人選だ。
これまで不動の地位を築いた大迫は、アジアカップから戻ったあとに新たな怪我(背中痛)が判明し、これに憤慨した所属先のブレーメンからコパ・アメリカには派遣しない意向が発表された。代表チームにとっては、このエースの離脱はあまりに大きな痛手で、早急な代役探しが求められている。
候補としては、シント=トロイデンの鎌田やニュルンベルクの久保などが新しく挙がってきているようだ。ただ鎌田は活躍していると言ってもベルギーリーグでの話だし、そもそも久保は低迷するチームで結果を残せていなくて苦しんでいるような現状だ。
他の候補者を見ても、ハノーファーの浅野は長いことゴールから遠ざかっているし、ニューカッスルの武藤にいたっては、今年に入ってほとんど出番を得られていない。彼らが代表に相応しくないとは決して思わないけど、実績がある大迫と比べればどうしても心許ないよ。
本来は実力で掴み取るのが、代表の座だ。それなのに、こうして調子が悪い選手に招集の噂があるのは、喜ばしいことではないよ。欧州組というだけで特別扱いされている節があるけど、決してひと括りにしてはいけない。リーグやチームによってまったくレベルは違うんだ。より高いレベルで争わなければ、チームの底上げにはならない。
大迫の代役が見つからない現状からも分かるように、今の日本代表は、選手層の薄さが顕著だ。世界の強豪国は、故障者が出ても代わりはいくらでもいて、そういう選手がしっかりとチャンスをモノにして定着していく。
しかし、日本では前体制の選手を忘れさせるような選手がなかなか出てこない。その原因は、「継続性」がないからだと思う。例えば、森保体制発足当初は3試合連続得点するなどゴールを量産していた南野も、アジアカップではわずか1ゴールにとどまった。
絶対的な地位を固められないから、いつまでもベテランの待望論が消えないんだ。だからこそ、3月シリーズで新たなメンバーが選ばれるなら、良い意味で予想を裏切る活躍を見せてほしい。
底上げと言う点では、U-22代表などアンダー世代の若手の台頭にも期待したいところだ。でも、なかなか思いどおりに進まなさそうだね。今回の3月シリーズとU-23アジア選手権予選が重なっていて、両代表を掛け持ちしている森保監督は、またしてもU-22代表の活動に帯同できない。
就任時には「A代表と世代別代表の連係を取っていきたい」と言っていたけれど、現状では上手くいっているとは思えないよ。A代表に引っ張られてU−22代表の活動に参加できない状態が続くなら、協会は兼任監督の活動や立場を、もう一度検討したほうが良いのでないかな。
アジアカップで初優勝したカタールを見ても、若手の強化が代表チームの成長につながるのは明らかだよ。政府とサッカー協会が手を組み、スペイン人監督を招聘して育成組織の充実を図ったことで、着実に力をつけてきている。
FIFAランキングで飛躍的にアップした(2019年2月発表時点で、93位から55位に)のは偶然ではない。日本はただ負けて悔しがるだけではなくて、こうしたライバル国の強化策をヒントにしなくていけないよ。
そのカタールもコパ・アメリカに出場するけど、どちらが南米の強豪を驚かせられるか。ライバル国に実力を見せつけるためにも、3月シリーズで良い準備を進めたいね。
3/11(月) 19:51 サッカーダイジェスト
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