「小指の付け根部分の出っ張った骨が有鉤骨。手のひら、手首に何度も強い衝撃がかかることで、結果的に骨折に至るケースが多い。清宮選手は、今年からバットのグリップエンドの部分を太く改良したと聞いた。スイングをする際に接触する機会が増え、これまで以上に負担がかかったと思われます」
■原辰徳は骨折後に打撃成績ダウン
有鉤骨骨折は長距離タイプの打者に起きるケースが多く、かつては原辰徳(巨人)、中村紀洋(近鉄)が経験。日本ハムでは中田翔が2008年に左手の同箇所を骨折、全治1カ月と診断された。骨折から復活したケースもあるものの、その後も後遺症に苦しんだ選手は少なくない。1986年の原辰徳のケースは手首を痛めながらプレーを続け、広島の速球右腕・津田恒実のストレートをフルスイングしてファウルした際に骨折。その後は打撃成績が下降線をたどった。通算2000安打を達成した中村紀洋は、23年間の現役生活で有鉤骨骨折の手術を含め、手首を5度も手術しているという。
清宮はもともと右手首に古傷を抱えている。昨秋キャンプで右手首を痛め、オフはバットを封印。1月の自主トレで打撃練習を再開したが、2月24日の巨人戦で外角変化球を空振りした際に再び痛みがブリ返したようだ。休養を挟んで2日のDeNA戦で復帰、今季1号本塁打を放ったばかりでのアクシデントである。前出の若月氏が続ける。
「今回の骨折と右手首の痛みは、関連性があるといっていいでしょう。清宮選手は右手のリストが強い。本塁打を放つ時など、ボールをとらえる際にうまく力が伝わっていればいいが、空振りやファウル、さらに始動してからバットを途中で止める場合は握りがズレるなどして、より一層、手首や手のひらに負担がかかりがちです」
骨折は適切な治療で治るとはいえ、手首は非常にやっかいな場所だ。さる球界OBがこう語る。
「腱鞘炎や手首の軟骨が損傷するケースもある。そうなるとなかなか完治しない。痛み止めの薬を飲んだり注射を打ったりして、ごまかしながらやっている選手も中にはいる。精神面にも影響するかもしれない。たとえば内角球に詰まったら痛みが出るのではないか、と脳が勝手にブレーキを踏むのです。清宮の場合は外の変化球をスイングした際に骨折し、右手を痛めてもいる。外角変化球に対する『トラウマ』が消えないかもしれない。とはいえ、清宮が今の打ち方を変えることは難しいでしょう。彼の長所は右手首をうまく使うことができるところ。これが飛距離を生んでいる。バットの握り方を変えるなどすれば、長所が消えてしまいかねません。さらに清宮は右投げですから、守備にも影響する恐れがあります」
今後も骨折の後遺症に悩まされないとも限らないというのだ。
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