「貴ノ岩」が腹を割って本音4時間(1/2)
最後まで見届けてほしかった――。横綱に暴行された被害者から、付け人を暴行した加害者へ。協会を去ることになった貴ノ岩が“事件”以降の生活ぶり、師・貴乃花への想いや日馬富士への3千万円訴訟の舞台裏など、4時間に亘って本音を打ち明けた。
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「テレビでのコメントを見て、複雑な気持ちにもなりました」
こう語るのは、白いカットソーにジーンズ姿の貴ノ岩ご当人。長髪は後ろでくくってお団子にまとめている。「テレビでのコメント」とは、貴ノ岩が引退を表明したことを受けた元師匠・貴乃花が、「10年はどんな状況でも会わない」と、あたかも土俵外へ突き放した一件を指している。
貴ノ岩義司(よしもり)――。モンゴル出身の28歳は、昨年11月、同胞の横綱・日馬富士に酒席で暴行を受けた。【ビール瓶で殴打、頭蓋骨骨折】といった見出しで報じられた一件は、その場に同じくモンゴル出身の横綱・白鵬がいたことなどから上を下への大騒ぎに。貴ノ岩の師匠・貴乃花と八角理事長ら角界中枢との権力闘争の匂いを嗅いだメディアは連日報道し、関係者は一躍時の人となった。貴ノ岩に関して提出された診断書には、「脳震盪、左前頭部裂傷、右外耳道炎、右中頭蓋底骨折、髄液漏の疑い」で全治2週間とあったとされるが……。
「頭のケガはすっかり良くなりました。髪を結わくときなども全く問題ないです。(引退)騒動の直後は自宅前に報道陣が張り付いており、一切の外出を控えていました」
話を1年前に戻すと、全治2週間のケガ後の1月場所は全休。3月場所は西十両十二枚目で復帰して勝ち越した。他方、師匠の貴乃花は17年12月に理事解任、今年2月の理事候補選挙で落選。沈黙を破って民放で真相を告白するも、相撲協会中枢はこれを諒とせず、対立は激化。そんななか、貴乃花部屋の貴公俊が付け人を殴打したことが発覚。暴力行為の撲滅、暴力力士の追放を訴えてきた貴乃花は一気に土俵際へ。
そして、かねて問題視されてきた言動に「ふてぶてしい」といった評価が多くの親方衆から下り、3月下旬には役員待遇から平年寄へ降格。更に6月、貴乃花一門からの離脱を、そして9月25日に突如、日本相撲協会からの退職を表明した。結果、所属力士は全員、千賀ノ浦(元小結・隆三杉)部屋に移籍が決定。今度は冬巡業中の12月5日、貴ノ岩が付け人の顔面を素手で殴打していたことが発表され、引退に追い込まれた。孤立を深めた「貴の乱」は、弟子の引退という悲劇を生んだことになる。引退の経緯について訊くと、
「『協会からの圧力』という報道があるんですけど、それはまったく違います。自分で決めました。この事態に対して“責任を取らなきゃあかんな”という気持ちになったから。それが一番です。また、正直メディアの報道もキツかった。テレビとネット、両方です。報道のされ方があまりに強くて、それで気持ちが切れてしまったという面はあります。1年前の事件(註:日馬富士による暴行事件)と同じように自分が(極悪人だと)報道されているのを見ていて、ショックを受けました。それに、こんなに叩かれていると、協会から2、3場所休場を言い渡されるかもしれないと感じ、それはツラいだろうなとも。この1年でいちばんツラかったのは相撲の取れない時期が長かったこと。謹慎中でも稽古はできると思いますけど、やっぱりきちんと土俵に上がることができないというのはツラいと思いました。引退を決めた時には、そうした相撲のとれない生活に戻るのが嫌だという気持ちもあったと思います」
>>2以降に続きます
12/27(木) 5:54配信 デイリー新潮
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181227-00554128-shincho-spo