山口さんが正論を言っている。杉山愛のコメントも興味深い
大坂なおみ(日清食品)が6―2、6―4で初優勝を飾ったテニスの全米オープン女子シングルス決勝で、主審を「泥棒」と呼ぶなどの
違反行為で3度の警告を受けたセリーナ・ウィリアムズ(米)が、主審の判定を「性差別」と非難した。黒人女性は米国社会で弱者とさ
れるが、S・ウィリアムズは大スターという強い立場もありログイン前の続き、論点が尽きない。
S・ウィリアムズのコーチは違反行為をしたと認め、国際テニス連盟(ITF)も主審の判定や試合運営を「ルール通り」と全面的に支持している。
それでも4大大会シングルス12度優勝の名選手で、女子テニス協会(WTA)の創立に関わったキング氏は主審を批判。ロイター通信
によると、S・ウィリアムズに対し、主審はもっと丁寧なコミュニケーションができたはずだと主張した。AFP通信によると、今大会の男子
シングルスで優勝したノバク・ジョコビッチ(セルビア)も「審判は選手を追い詰めるべきではない」と述べた。今回の主審が、他の試合でも
厳格にペナルティーを科してきた経緯が念頭にあるようだ。
女性スポーツに詳しい山口香・筑波大大学院教授(スポーツマネジメント)は、抗議を試合の一部ととらえてこう見た。
「審判への抗議で流れを有利に変えられることもあるが、今回は抗議で自分が乱れた。しない方がよかった」
山口教授はスポーツから性差別をなくす必要性には同意するが、主張の仕方としては否定的だ。「正しい判定に
納得がいかず暴言に至った。負けた後に性差別だと言い出したのは論点のすり替えで、自己弁護のために性差別を
持ち出すのはよくない。ずるいと思われ、差別を助長する」
当日の会場を含め米社会にS・ウィリアムズ寄りの反応が目立ったのは、黒人や女性に対する差別に敏感な米社会の
世論を背景に、味方したくなる感情に傾いた人が多かったからではないかと分析した。
WTAには1973年の創立以来、男女同権を実現してきた歴史がある。今回の決勝についてWTAは「選手の感情表現に
対する許容基準が男女で異なってはならないと信じ、全ての選手が等しく扱われるよう努力してきたが、昨夜(の決勝)は
そうなっていなかった」という見解を発表した。
全米、全仏、ウィンブルドンの女子ダブルスで優勝した杉山愛さんは「4大大会の賞金を男女同額にしただけでなく、
試合会場にはコーチや選手のための託児所がある。やりがいのある舞台を作ってくれたWTAの方針に私も協力し、
連帯を示すTシャツで記者会見に出たこともある」。
杉山さんは今回は主審の判定が正しく、差別を訴える機会としても適切でなかったと考えるが、S・ウィリアムズの感情は
理解できるという。
「私がプロになりたての頃、観客に応援されるのはいつも相手選手だと思っていた。非白人の選手は同じような経験を経て、
勝つことで認められ、発言力を獲得する。S・ウィリアムズの主張の強さには、そういう背景があることも知って欲しい」(忠鉢信一)
(スポーツTOPICS)セリーナへの主審判定「性差別」か テニス全米オープン
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13679589.html