八角理事長「白鵬のこんな負け方を初めて見た」
2018年5月24日19時59分 日刊スポーツ
https://www.nikkansports.com/battle/sumo/news/201805240000762.html
白鵬(左)を寄り切りで下す栃ノ心。右下は鶴竜(撮影・中島郁夫)
<大相撲夏場所>◇12日目◇24日◇両国国技館
全勝の関脇栃ノ心(30=春日野)が、1敗で追う横綱白鵬(33=宮城野)を力相撲でねじ伏せ12戦全勝。確実な状況の大関昇進と2場所ぶり2度目の優勝という“2冠”に向かって、まっしぐらだ。
右の相四つ、左上手も十分で胸が合った。これまでの対戦と、ほぼ同じ体勢でこれまで栃ノ心は25戦全敗。相手の上手を切る、巻きかえるなどで体勢を崩して勝負を制するのが、今までの白鵬の勝ちパターンだった。
ただこの日は、ここ数場所で見せてきた強烈な引き付けで、白鵬に何もさせず真っ向勝負から、こん身の寄りで白鵬戦初勝利を挙げた。
これには協会トップの八角理事長(54=元横綱北勝海)も「白鵬のこんな負け方を初めて見た。力負けで何もできなかったね」と少し驚くような口調で話した。
取組中には「ちょっと腰が高いな」と栃ノ心の体勢を読み取ったが「力をずっと出し続けられるのは稽古のたまもの。立派だ」とほめ「上手を切らされずに、ずっと引きつけていた。上手を切る動作もさせなかった」と白鵬を封じ込めた要因を説明した。
栃ノ心の師匠・春日野親方(元関脇栃乃和歌)も打ち出し後、報道陣に囲まれ安堵(あんど)の表情。「あれしかない勝ち方だったね。横綱がうまみを出す前に何とか勝負できた」と愛弟子をほめた。
栃ノ心の胸中を「意外と気が小さくてドキドキしていただろうけど、それを見せないでよく頑張っている」と察した。
大関昇進は確実で、場所後の30日には、日本相撲協会の使者を迎えての伝達式がある。栃ノ心は口上を読み上げることになるが「う〜ん、まあ正式にそうなったらまたね」と言葉を濁しつつ「ちゃんと(口上を)しゃべれるかな」と目を細め「アイツの気持ちは伝えると思いますよ」と待ち遠しい様子で小さく笑った。