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AnimeJapan 2018では、前年までと同様、アニメビジネスに関する各種相談に対応する窓口「アニメビジネスコンシェルジュ」や、
アニメを使ったビジネスを新たに始めたい方に向けた基礎講「AJ×ABPF アニメビジネス大学」など、新規参入希望者に向けた企画を取り揃えている。
昨今のアニメ市場の活況を知ってアニメビジネスに興味を持ち始めたビジネスユーザーにはうってつけの内容だ。
そんなAnime Japan 2018の開催を前に知っておきたいのが、現代のアニメビジネスの概況だろう。
今回は、アニメビジネスの動きについて、『デジタルが変えるアニメビジネス』などの著者として知られ、「アニメビジネス大学」内の講義「データでわかるアニメ産業」を行う、増田弘道氏に話を訊いた。
【聞き手=沖本茂義、構成=山田幸彦】
■国内アニメ市場が堅調な理由は、基礎力の高まり
まず、2016年と比べて2017年のアニメビジネスの動向はどのような特徴があったのか。増田氏はこう語る。
「『君の名は。』や『この世界の片隅に』など、ヒット作が目立った2016年と比べると、国内は堅調な印象を受けました。一方、中国など海外市場は非常に伸びています」
中国では、急成長するネットサービスの影響もあり、各種動画配信サービスが、日本アニメの配信権を巡って以前から激しい買い付け競争を繰り広げていた。
そんな中、買い付けだけに収まらず、出資して製作に携わった作品を配信することで、より大きな利益を得ようという動きなども見られる。
莫大なお金が動く中国企業の動向は、現在の日本アニメビジネスを追う上で目を離せない存在だ。
現在、好調な中国市場だが、今後について増田氏は「バブルはいつか収まりを見せますし、現在のようにどんな作品でも高値で買い付けるという流れはなくなっていくでしょう」と見据えた。
中国の動向が注目を集める中、2016年に比して堅調という2017年の国内アニメ市場。この動きはネガティブに捉えるべきなのだろうか。
「基礎力が上がったことで、大ヒットの有無に業界の動きが左右されなくなったことを意味していると思います。
去年は日本のアニメーション100周年の年でしたが、今年は”オタク第一世代”の人たちが60歳を迎える年になります。
これはつまりアニメファンの年齢層に幅があることを示しています。昔はキッズ・ファミリー層と、コアファンと呼ばれる一部の人しかいなかった。
今では映画やドラマなどジャンルを問わず”面白ければなんでも観る”というライト層も増えてきて、総じてアニメの需要が高まっています」
アニメの需要の高まりは、ファンだけではなく”企業”にも及んでいる。それは国内アニメ製作事業者の業界団体である、日本動画協会の会員数増加からもうかがえる。
「日本動画協会を結成した頃の準会員はごく少数だったのが、今となっては正会員よりも準会員のほうが多い。
正会員はアニメーション製作にかかわる会社で構成されており、準会員には、ポスト・プロダクションなどアニメの制作に直接携わっている人もいますが、
配信事業社やイベント会社など、アニメ周辺事業に携わる人たちがとても多くなりました」
大手企業がアニメを使用したCMを大々的にシリーズ展開するなど、多彩な企業のアニメビジネスへの参入は日々のニュースからも見て取れる。その理由について、増田氏はこう語る。
「単純な話ですが、アニメの需要が高まっているなかで『面白そうだからやってみたい』という人たちが増えたからだと思います。
単純に、「この作品面白いね」というものから、「ウチのビジネスに向いているのでは」というようものまでありますが、アニメ自体格式ばっていたり、ハードルが高い印象を受けにくいことが理由ではないでしょうか」
■アニメ業界に新規参入するうえで大事なことは?
さまざまな企業がアニメビジネスに参入しているが、新規参入企業が心がけるポイントとは何なのだろうか。
「アニメビジネスに新規参入する際に重要なことは、”作品とクリエイターへの理解”です。
たとえば『地元でコンサートをやりたいから、とにかく有名人呼べないか?』というノリで、お金を出せばなんでもできると思っている方もいるのですが、そういった気持ちで入ると、たいてい上手くいきません。
アニメ業界はお金の論理だけでは動かないクリエーター気質なところもありますから。実際、アニメとコラボした町おこしで成功した行政の人中には、『この人業界の人!?』と思うぐらい作品に詳しいことも多いです」
うしろ省く