6大会連続となるW杯出場を決めたサッカー日本代表で勝利の立役者はFW浅野拓磨(22=シュツットガルト)だ。2―0と完勝したロシアW杯アジア最終予選オーストラリア戦(31日、埼玉)で、卓越したスピードで抜け出し、先制ゴールを決めて日本を歓喜の渦に巻き込んだ。そんなストライカーを試合後、本紙評論家の元日本代表FW武田修宏氏(50)が独占直撃。今回の活躍につながるドイツでの“極秘特訓”の存在が明らかになった。
勝てばW杯出場が決まるという大事な一戦で、輝きを放った浅野。スコアレスで迎えた前半41分、左サイドのDF長友佑都(30=インテル)のクロスが上がった瞬間にオーストラリア守備陣の背後に飛び出すと、完全にフリーとなって左足ダイレクトボレーで先制ゴールを奪った。トレードマークとなっている“ジャガーポーズ”も披露。「佑都さんがいいボールを上げてくれて、合わせるだけだった」と笑顔がはじけた。
爆発的なスピードを武器に、思い切りのいいプレーが持ち味のストライカーだが、A代表入りしてからは自身のふがいなさに憤りも見せていた。代表初先発となった昨年6月のキリン杯、ボスニア・ヘルツェゴビナ戦では終盤に決定機がありながらパスを選択し、試合後は悔し涙。W杯アジア最終予選の初戦となったUAE戦では、決まったと思われたシュートがノーゴールの判定を受け、運のなさを嘆いた。
そこからどうやって自分自身を立て直したのか。試合後、取材エリアで武田氏と対面した浅野はこんなやりとりをした。
武田:今日はナイスゴールだったね。あのゴールは狙い通り?
浅野:僕の予想では、佑都さんからのボールはあそこだけでした。だから、相手の視野から消えてあの位置に行くことを考えました。僕は普段から体の強い相手とやっているから、今日も難しいことは考えないでやったのがよかったと思います。ドイツでいろいろなポジションを経験していることも生きました。
武田:でもあのボールをダイレクトで合わせるのは簡単じゃないよね。
浅野:普段の僕ならたぶん、空振りだったと思います(笑い)。でも、ドイツでやっている特別な練習の成果が出ました。
すると浅野はシュツットガルトで毎日行っている「テクニックトレーニング」の存在を明かした。シュートを打つ際にどんな打ち方でいくのか、足の向きはどうなのか、コースにどんな入り方をするのか、ということだけに特化した練習。ライバルとなる他のFWも行っているとはいえ、シュート技術の未熟さを感じていた浅野は積極的に取り組んだ。
この練習を続けていくうちに、精神面のコントロールなどストライカーに必要な能力のレベルアップにも成功。武田氏も「一見するとすごく地味だし、日本ではその部分だけ特別に練習をやることは少ないけど、それを徹底的にやるからドイツはいいストライカーがどんどん生まれるのだと思う。浅野選手はまだまだ成長していくはず」とドイツのストライカー育成の奥の深さに驚きを隠さなかった。
浅野は「僕らがどんどん底上げしないといけない。もう若い世代じゃない」と代表チームの中軸を担う決意も示した。ロシアW杯で「ジャガー」は大暴れする覚悟だ。
2017年9月1日 16時30分 東スポWeb
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/13552886/
写真