県内で空前の将棋ブームとなっている。
最年少プロ棋士、藤井聡太四段(15)がデビューから公式戦最多連勝記録を塗り替えた活躍を受け、
子ども教室はいずれも満員状態だ。
成長に役立つと親も注目。夏休み、ますます将棋ブームが熱を帯びている。
■指導員増やし対応 日立・桜川
子どもたちが真剣な表情で向き合っている。日立市中成沢町の「将棋クラブ ふ」で月1回の将棋教室。
今春、会員が15人から約3倍となる42人に急増した。
日立将棋連盟日立支部は指導員を増やして対応しているが、問い合わせは今もやまない。
会員は幼稚園児から中学生。大沼小2年の伊藤一進君(7)は「相手がどんな手を指してくるか分からない」と将棋の魅力を話す。
同小3年の黒沢健太朗君(8)は「多くの戦法が使える棋士になりたい」と意欲的だ。
これまで祖父に習っていた会瀬小4年、佐藤世梛君(10)は「もっと強くなりたい」と入門した。
藤井四段の公式戦連勝記録を止めた佐々木勇気六段に憧れる。
桜川市内の公民館で行う小学生対象の「子ども将棋教室」も人気だ。
日本将棋連盟県西支部が7月から計9回開催。例年の2倍となる40人を超え、全員を受け入れた。
初めて駒に触れる児童も多い。傍らでは保護者が駒の動かし方などを熱心に書き留めている。
同連盟県支部連合会の市野塚耕三会長は、少子化に伴って将棋を習う子どもが減る中、
将棋界の活性化のチャンスと捉える。「一時的なブームで終わらないよう努力したい」と指導員と対応する。
■強さ求めて県外へ 守谷・柏
守谷市けやき台の南守谷将棋センターは毎週土曜、大勢の子どもたちであふれかえる。
多くは幼稚園児から中学生。50以上ある将棋盤はすぐに埋まり、対戦相手を決める場所には行列ができる。
同センター席主の川嶋長一郎さん(81)は「つくばや鹿嶋など遠くの子も来る。藤井四段の活躍で、親御さんが連れてくることも増えた」と話す。
将棋を始めて3カ月の私立開智望小3年、森山泰雅君(8)は「藤井四段が好き。若いのに強いからすごい」と声を弾ませる。
新たな対戦相手を求め、県外まで足を延ばす子どもたちもいる。
千葉県柏市の柏将棋センターは、藤井四段の連勝を29で止めた佐々木六段の師匠、石田和雄九段が師範を務めている。
JR柏駅から近いため、取手や龍ケ崎、牛久から通う子どもも多い。
牛久市立向台小6年の森陽奎(ひふみ)君(11)は通い始めて9カ月。
佐々木六段と藤井四段の対局はインターネットで観戦した。「道場の先輩である佐々木先生を応援した。完勝だった」と笑顔で話した。
石田九段は「藤井四段、彼一人じゃいけない。
勇気君をはじめ、若い棋士たちが切磋琢磨(せっさたくま)して将棋界を盛り上げていってほしい」と願った。
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