近代テニスの代償か。右手首の腱を断裂して、年内全休が決まった男子テニスの世界ランキング9位・錦織圭(27=日清食品)にテニスの“ハイテク化”の影響を指摘する声が上がっている。
「我々の時代は腰とかヒザはいましたけど、手首でケガってあまり記憶がないですね」。こう話したのは日本テニス協会の倉光哲理事(73)だ。
過去、手首の故障が少なかったのには理由があるという。「我々のテニスはどちらかというと『運ぶテニス』だった。今はボールを巻き込んでくる。その分、余計に手首に対して負担がある」。原因はラケットが倉光氏の時代に比べ、100グラムほど軽くなったことで「逆に軽いっていうことは、自分の腕力やフィジカルでスイングする。また、そういうスイングをしないと威力が出ないんです」(倉光氏)。
ラケットに重量感があれば振り回すことはできず、ボールも強打というより「運んでいく」打ち方だった。しかし、メーカーの開発競争が激化し、素材がカーボンなど軽量化されたことで、戦い方も変化した。「錦織選手は我々より数倍、手首を使ってやってきた」と倉光氏は気遣った。近年では同30位のフアンマルティン・デルポトロ(28=アルゼンチン)も手首を痛めて長期離脱している。時代が違う、と言われればそれまでだが、現役の長かった倉光氏は松岡修造氏(49)とともに日の丸を背負った経験もある。はるか昔のことでもない。
錦織は18日、自身の公式アプリを更新。右手首をギプスで固めた痛々しい姿で「今はこの状態で全部、固定されています。3、4週間後にまたドクターが診て、どうしていくかを決めていく予定です。なるべく気持ちを前向きに来年までには治したい」と報告した。表情は晴れなかったが、倉光氏は「メンタル的にも休んで、また来年頑張ればいい」とエールを送り復活を願った。
2017年8月19日 16時30分 東スポWeb
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