巨人は首位との直接対決に合わせて、2軍でも打率1割台のドラフト1位ルーキー、吉川尚輝内野手(22)=中京学院大=を1軍に初昇格させた。不可解な大抜擢の意図はどこにあるのか。
9日の阪神戦(東京ドーム)前に1軍での初練習を終え、吉川尚は「緊張しているが、しっかりアピールできるよう思い切ったプレーをしていきたい」と意気込んだ。
今週は5試合。登板機会のない先発6枚目の内海の出場登録を抹消し、空いた1枠にファームで真っ黒に日焼けした新人をあてた。
「うれしかったのもあるが、思ってもなかった早い時期で、自分でもびっくりした」というのは偽らざる本音だろう。
右肩の不調で新人合同自主トレは別メニュー。春季キャンプも3軍で過ごした。イースタン・リーグでも30試合出場で打率・187、0本塁打。2軍にはもっと打っている野手もいる。
本人は「守備と足を期待されていると思う」と話したが、東京ドームでのプレー自体が初めて。入念に二塁と遊撃でノックを受けたが、「グラウンドの状態を把握できるようにしたい」という段階で守備固めの起用は勇気が要る。ましてエース菅野が先発し、首位とのゲーム差2・5を縮めようという大事な一戦だ。
案の定、この日の吉川尚は出番なし。7回先頭の石川のソロで2点差に迫ったが、続く打率1割台の小林、102球を投じていた菅野には代打を送らず。そのまま阪神に逃げ切りを許した。
現在1軍は捕手2人態勢。小林への代打を難しくしているが、第3捕手を昇格させれば問題は解消される。あるいは中継ぎを補充すれば、先発に代打を送りやすくなる。それでも阪神、広島と上位との対戦が続く重要な1週間に白羽の矢が立ったのは吉川尚だった。
「現場の要望とは思えない。若手を使えという(上層部からの)お達しでもあったのか」と球界OBも首をひねる。それでも勝てばいいが、現在の戦局にそんな余裕はないはずだ。長嶋終身名誉監督が3日のイースタン戦を観戦し吉川尚をほめたことさえ、1軍昇格ありきの“露払い”だったのかと邪推したくなる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170511-00000009-ykf-spo
夕刊フジ 5/11(木) 16:56配信