毎日新聞2021/3/4 20:38(最終更新 3/5 09:14)
https://mainichi.jp/articles/20210304/k00/00m/040/256000c
元副文部科学相で衆院議員(奈良3区)の田野瀬太道(たいどう)氏の父が創立し、兄が学校法人理事長を務める西大和学園中学・高校(奈良県河合町)の2019年の入学式の際、式典終了後の会場で田野瀬氏の関係者が新入生の保護者に後援会への入会を促していた。生徒からの情報を元に調査した弁護士が4日に発表し、「学校での政治的中立性を確保する教育基本法に抵触する可能性がある」と訴えている。
奈良市内で4日に記者会見を開いた佐藤真理(まさみち)弁護士らによると、19年4月に同校で開かれた入学式が終わり、生徒や教員らが退席した後、会場に残った保護者に対し、保護者有志による田野瀬氏の後援会「西道(せいどう)会」の関係者が入会を促していた。また、3月には新入生の保護者宛てに後援会への入会を求める文書も送られていた。文書には田野瀬氏の名前が記され、入会申込書も同封されていたという。
関係者や県などによると、この後援会は登録された政治団体ではないが、元保護者でもある会長は17年の衆院選で田野瀬氏の選挙責任者を務めていた。
◇学園代理人「学校は一切関知せず」
学園代理人の足立毅弁護士は取材に「後援会への勧誘は保護者でつくる育友会が独自にしていたこと。名簿を提供したこともなく学校は一切関知していない」と関与を否定し、「学校は田野瀬氏の選挙応援などもしておらず、問題があるとは思っていない」と話した。一方、佐藤弁護士は「学校の同意、協力なしにはあり得ないことで、違法だ」と訴えている。
同校は学校法人「西大和学園」が運営し、関西有数の進学校として知られる。
田野瀬氏は父良太郎氏が創立した西大和学園高校を卒業。自民党衆院議員となった良太郎氏の秘書を務めた。党総務会長などを歴任して引退した良太郎氏の後継として、12年衆院選で奈良4区から初当選。区割り変更に伴い17年に奈良3区で3選を果たした。文科政務官を経て20年9月に菅義偉内閣の副文科相に登用されたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言発令中の21年1月18日深夜、東京・銀座のクラブを訪問したことで批判を受けて更迭され、2月に離党していた。【久保聡、稲生陽】