新型コロナウイルスの影響で、世界の工場といわれる中国がファッション分野でも大きな痛手を負っている。「ザラ(ZARA)」「H&M」「プライマーク(PRIMARK)」などのファッションブランドから、メイシーズ(MACY’S)やニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)など小売業まで、ファッション関連の大量の生産取り消しが相次ぎ、工場経営に衝撃を与えているのだ。中国の国家統計局によると、今年1〜2月の衣類の生産量は2019年の同じ時期と比較して36%減の25億点。同時期の国内の衣類の売り上げは、同33%減の150億ドル(約1兆6200億円)に減少した。衣類の輸出は20%減の160億ドル(約1兆7000億円)に落ち込み、素材やファッション産業への投資は約50%急落している。
世界的なカシミヤメーカーとして知られるオルドス(ERDOS)の工場は3月下旬からフル稼働しているものの、ヨーロッパのラグジュアリーブランドからのOEMのオーダーの大半がキャンセルまたは生産が延期されたという。オルドス ホールディンググループのジェーン・ワン(Jane Wang)副社長は、この切迫した状況の中で生産体制と運営に思い切った対応をしたいという。「われわれは、クライアントの要望に対していつでも柔軟に対応できる準備ができている。彼らと緊密に協力し、力を合わせて解決策を考えたい」と話す。
オルドスの繊維の約30%はヨーロッパから調達しており、その多くは新型コロナウイルスの影響が深刻なイタリアのロンバルディア州からだ。オルドスは今秋に向けた生産や物流の遅れを防ぐため、内モンゴルの工場に約2万人の従業員を確保した。
オルドスのビジネスは、世界で最も大きな市場である日本にも影響が出ている。ワン副社長によると、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、松山の店舗の売り上げは急減しており、2月は中国からの訪日客が87%落ち込むなど、小売業の売り上げは5カ月連続で減少すると見ている。
オーダーのキャンセルにより、小規模の工場は3月下旬から眠れぬ夜が続いている。「ザラ」「H&M」「マックスマーラ(MAX MARA)」などと取引がある工場ミアオ(MIAO)のオーナーは地元紙の取材に対し、「H&M」は5月および晩夏から秋にかけて販売する商品のオーダーをキャンセルし、「ザラ」と「H&M」もミャンマーにおける工場のオーダーの30〜40%を取り消したという。
ある工場関係者は、現状を1997年と2008年に経験した金融危機より深刻だとしている。
4/14(火) 18:00配信
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