韓国政府が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題を解決するため、韓米中による3カ国会談を提案したが、中国が応じずに実現しなかったことが16日までに分かった。韓米中による3カ国会談を行えば、中国がTHAADに対して提起している疑いをかなり解消することが可能だ。
中国が会談を拒否した背景について、専門家は「中国のTHAAD撤回要求が技術的問題や意思疎通上の誤解によるものではないことを示している」と指摘する。
■昨年から重ねて提案、中国無反応
文在寅(ムン・ジェイン)政権が韓米中3カ国会談を提案したのは、先月初めにドイツのベルリンで開かれた韓中首脳会談の前とみられる。
文大統領が首脳会談の席上、習近平国家主席に韓米中3カ国による対話を提案し、習主席が即答を避けたとの報道もあったが、韓国大統領府(青瓦台)は「首脳間のやりとりについて言及するのは適切ではない」と述べた。
この問題で今月初めに大統領府の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長が訪中したと伝えられたことについても、「事実とは異なる」と否定した。韓中関係に詳しい消息筋は「韓中首脳会談では韓米中3カ国会談に関する言及がなかった。他のルートを通じて打診したはずだ」と述べた。
文在寅政権の発足直後である5月、共に民主党のイ・ヘチャン、朴炳錫(パク・ピョンソク)議員がそれぞれ大統領特使として、「一帯一路フォーラム」に出席したが、それ以前にも関係当局は韓米中3カ国による会談を検討していた。
朴槿恵(パク・クンヘ)政権の外交・安全保障当局者によれば、朴槿恵政権も韓米中3カ国会談を重ねて中国に提案したという。韓米両国はTHAAD配備決定に中国が強く反対したことで、政府として対応策を模索する過程で、3カ国会談の構想が浮上したたのだという。
米政府は「米国が直接説明すれば、説得が可能だというなら、いくらでもやりたい」と会談に前向きな立場を示した。韓国政府は在中韓国大使館経由で中国側に3カ国会談を提案し、昨年9月に朴槿恵前大統領が主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するために中国・杭州を訪れた際にも、習主席に直接この問題を提起した。
韓国外交部(省に相当)傘下の国立外交院、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)、中国外務省傘下の中国国際問題研究所の間では2回にわたり、半官半民レベルでの対話も行った。それでも韓米中3カ国による政府間対話はついに実現しなかったという。
当時3カ国会談の調整に関与した人物は「中国側が『THAADは自国の核心的利益を損ねる問題で、協議の対象ではない』との理由を掲げ、一切応じなかった」と振り返り、「韓米との交渉テーブルに臨んだ瞬間、THAAD配備を認めることになると考えたようだ」と分析した。
■米中関係と中国共産党大会
トランプ米大統領の就任と文在寅政権の発足以降も、米国は「韓米中3カ国会談が実現すれば参加する」との立場を変えていないという。しかし、中国が呼応する可能性は低い。
外交筋は「中国は米中間の域内競争の一つの要素としてTHAADを認識しており、韓米と同じテーブルに着き、説得を受ける理由はない。米中関係に大きな不確定要素が生じるか、11月に予定される中国共産党の第19回党大会が終了し、中国が新たな外交戦略を取れば、他のモメンタム(勢い)が生まれることもあり得るが、現時点では困難だ」と指摘した。
これに関連し、先月初めに韓国を訪れ、アジアリーダーシップ・コンファレンスに出席したオバマ前米大統領は「在任中に習主席にはTHAADの詳細な技術的問題について触れ、『中国の戦略核の抑止力が損ねられることはない』と説明しようとしたが、中国側は聞こうとしなかった」と振り返った、
中国が無条件でのTHAAD配備撤回を主張するのは、技術的問題や意思疎通不在がっ原因ではないことになる。
金真明(キム・ジンミョン)記者
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