「相手はマキノを甘く見るかもしれない」
ロシア・ワールドカップ本大会に向け、日本代表はアルプス山脈の麓で精力的なトレーニングを続けている。金曜日にはいよいよ西野ジャパンにとってのテストマッチ第2戦、スイス戦に臨む。フォーメーションはガーナ戦で採用された3バックから4−2−3−1に戻される公算が高く、本田圭佑や香川真司のスタメン起用があるのかなど、興味が尽きない。
そんななか、海外メディアもこぞってサムライブルーの特集を組み、その実力のほどを分析している。米スポーツ専門チャンネル『Fox Sports Asia』のアジア通記者、ガブリエル・タン氏が6月6日に寄稿したのは、「ワールドカップでの活躍が欠かせない日本の5選手」と題した記事だ。その人選が通好みと表現すべきか、なかなか渋い。
一人ひとりの寸評とともに紹介しておこう。
エイジ・カワシマ(川島永嗣)
「ピーク時にはアジアナンバー1の定評を得ていたエイジ・カワシマも、現在はキャリアの夕暮れ時を迎えている。それでもいまだ日本ではもっとも安定感のある守護神として、ふたつのゴールポストの間にそびえ立つ。サムライブルーは新たなディフェンスの形を模索中で、実際にどれほどの強度を保てるかが定かではない。そんななか、ワールドクラスのアタッカーであるロベルト・レバンドフスキ、ハメス・ロドリゲスと対峙しなければならないのだ。カワシマの奮起は必須だろう」
トモアキ・マキノ(槙野智章)
「日本のスタメンはほぼヨーロッパでプレーする選手たちで固められているが、もしホタル・ヤマグチ(山口蛍)が外れれば、国内組はトモアキ・マキノのみとなる。おそらく相手チームはそのことから、マキノのフットボーラーとしての力量を甘く見るかもしれない。だが、忘れてはいけないのだ。31歳はブンデスリーガでのプレー経験が豊富で、世界の名だたるフォワードとも堂々と渡り合う力を有している。ゲームを読む眼に長け、スライディングタックルは強烈。ゴールセンスを備え、左サイドバックをこなすなど万能性も十分だ。チームにとって大きなオプションとなっている」
ガク・シバサキ(柴崎岳)
「すでにビッグステージで存在を誇示した男だ。鹿島アントラーズの一員として2016クラブワールドカップ決勝で躍動し、レアル・マドリーを相手に2ゴールを叩き込んだ。ハットトリックのクリスチアーノ・ロナウドに肩を並べるほどの活躍を見せた。その後はスペインに渡り、テネリフェとヘタフェで研鑽を積んでいる。現時点でガク・シバサキは日本のスタメンではないが、創造性をもたらすプレーと、一撃で敵ディフェンスの急所を突くキラーパスを活用しない手はない。たとえ途中出場だとしても、相手の堅陣を突き崩す切り札となるだろう」
「カガワにとっては光り輝く最後のチャンス」
シンジ・カガワ(香川真司)
「ワールドカップという世界最高峰の舞台であっても、シンジ・カガワはゲームを決めることができるプレーヤーだ。近年の日本代表における評価が決して高くないとしてもである。4年前は恥辱にまみれた。2022年のカタール大会で33歳になることを考えれば、カガワにとって今大会がインターナショナル・レベルで光り輝く最後のチャンスになるかもしれない。足下の技巧に疑いの余地はなく、ボルシア・ドルトムントでも魔法がかかったようなプレーを披露し続けている。アタッキングサードでの名人芸はサムライブルーの躍進に欠かせないファクターだ。ノックアウトステージに進むためにはゴールを奪わなければならない。4年前の2ゴールを超える結果が求められる。カガワはその急先鋒となるべきなのだ」
ヨシノリ・ムトウ(武藤嘉紀)
「確かなクオリティーを保持するヨシノリ・ムトウだが、シンジ・カガワやケイスケ・ホンダ、シンジ・オカザキ(岡崎慎司)ほどの知名度は得ていない。相手チームがあまり警戒していない秘密兵器となり得るし、ビッグサプライズを提供するかもしれない。まさに2010年のホンダ、あるいはその4年後のユウヤ・オオサコ(大迫勇也)のようにだ。3年間をブンデスリーガで過ごし、どれだけのハイセンスを有しているかを証明してきた。フィジカル面で大きな自信を持ち、なによりゴールへの執着心が素晴らしい。こうしたタイプのフォワードは日本では稀少なのである」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180606-00041545-sdigestw-socc&p=2