取材班が昨年9月以降、アプリを通じて働き、グレーな求人を複数確認した。
フリマアプリ大手「メルカリ」(東京都港区)が運営するアプリ「メルカリハロ」には、雇用した事業者と現場の指揮監督者が異なる求人が掲載されていた。
「一般社団法人日本ワークシェアリング協会」(北区)が募集したホテルのベッドメークの仕事だ。申し込むと、現場では別企業の「ワライフ」(新宿区)のスタッフを名乗るよう指示を受けた。
ワライフの社長にメールで問い合わせると、「協会はワライフのグループ法人になります。協会とワライフが派遣の関係に立つものではありません」と回答があった。協会とワライフが事実上同一との主張のようだったが、追加の質問には一切返答がなかった。協会を訪ねても誰もおらず、郵便ポストの投入口は養生テープでふさがれていた。
◆原則禁止の「日雇い派遣」らしき求人も散見
これらをメルカリに伝えると「使用者と監督指示者が異なる可能性があり、調査のため(求人は)非公開とする」と連絡があり、協会の求人が全て消えた。
協会が、労働者の合意なしにワライフで働かせた場合、職業安定法が禁じる労働者供給に当たる恐れがある。東京労働局の需給調整事業部の担当者は「不適切な求人の可能性がある」という見解を示した。
別のアプリ「タイミー」や「シェアフル」には、原則禁止されている「日雇い派遣」の疑いがある求人も掲載されていた。
人材サービス会社「日本レイバー」(台東区)は両アプリを通じ、1日限りで雇用した労働者を物流会社「中村荷役」(大田区)に派遣。中村荷役の指揮下で、冷蔵倉庫での荷降ろし業務に就かせたとみられる。
日本レイバーの担当者は取材に「(中村荷役との契約は)労働者派遣ではなく、港湾業界独自の『相互融通』と呼ばれる仕組みだ」と説明した。ハローワーク品川港湾労働課の担当者は「そのような仕組みは聞いたことがない」と答えた。
偽装請負が疑われる求人をシェアフルに掲載した人材会社(新宿区)の担当者は「シェアフル側から求人内容の問い合わせを受けたことはない」と証言した。
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