インドの後発薬大手ドクター・レディーズ・ラボラトリーズなどは23日までに、カナダで新型コロナウイルス感染症の治療薬として「アビガン」の緊急使用を申請したと発表した。アビガンを開発した富士フイルムホールディングスは、日本で実施した臨床試験(治験)のデータを提供する。
日本では厚生労働省が21日、「有効性を明確に判断することは困難」としてアビガンの承認を見送り、審査を継続することを決めている。カナダで緊急使用が認められれば、欧米の主要国で初めてとなる。
アビガンは富士フイルム子会社の富士フイルム富山化学が開発した。富士フイルムは6月、ドクター・レディーズとアラブ首長国連邦(UAE)の医療物資販売会社グローバル・レスポンス・エイド(GRA)に海外での製造・販売のライセンスを供与している。
すでにアビガンはインドやインドネシアで緊急使用が認められている。アビガンの後発薬はインドや中国、ロシアなどで承認されているが、欧米で承認している国はほとんどない。
日本には、承認制度が日本と同水準の国が薬の使用を認めている場合、審査手続きを短縮する「特例承認」と呼ばれる制度がある。政令で米国やドイツなどとともに、カナダは同水準の国として挙げられている。
日本経済新聞 2020年12月23日 21:48
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ239TM0T21C20A2000000