https://news.yahoo.co.jp/articles/1f315baa6c3b6b4ff36b8c34961d30d432be0342
日韓両国でベストセラーとなった『 反日種族主義 』。その第2弾『 反日種族主義との闘争 』が発売された。日本語版の刊行に尽力した久保田るり子・産経新聞編集委員が、本書の“核心”を綴った。
【画像】猛反発への再反論として出版された『反日種族主義との闘争』
◆ ◆ ◆
『反日種族主義』の刊行は“事件”だった
編著者の李栄薫氏
反日こそが愛国、まして学者の反日批判は「学者としての自殺行為」といわれる韓国で、『反日種族主義』の刊行は“事件”だった。
編著者の李栄薫・元ソウル大教授らは強烈な抵抗と罵倒を受けたのだ。当時、政権中枢にいだ国前法相は「吐き気を催す本」とこき下ろした。執筆陣のひとりは暴漢に襲われ、「売国奴」と暴言を浴びせられた。この1年あまりに刊行された批判書は7冊におよぶ。
「徴用工問題」の原告4人は徴用工ではなかった
第2弾『反日種族主義との闘争』はこうした猛反発への再反論だ。実は前著の出版時から構想されていた。李氏らは、韓国史のなかで岩盤のようにぶ厚い「慰安婦は性奴隷」「徴用工は強制労働」などの通説を論破するには、守旧学者らとの激論が必須と考えたからだ。
本書で目を引くのは、日韓関係が悪化した核心、徴用工問題の検証だ。
大法院(最高裁判所)は、2018年10月、新日鉄住金(現日本製鉄)に対して、原告である韓国人4人が戦時中に労働内容や条件を知らないまま、劣悪な環境で働かせられたことは「反人道的な不法行為」にあたると認定し、1人あたり約900万円の賠償を命じた。
本書は判決の不当性を論証していく。資料を紐解くと、そもそも4人は自らの意志で募集に応じた労働者で、徴用工ではなかった。労働実態を調べると、賃金も支給されていた。
また、判決は「植民地支配は不法」ということを前提にしている。しかし、本書は1910年の韓国併合や65年の日韓国交正常化の史実を検証し、大法院に対して「半世紀後に一国の司法部が相手国の国民に賠償を命じることはあり得ません」と断じた。
判決は、韓国の“黒い歴史”となった
さらに、65年に結んだ日韓請求権協定で外交的保護権も消滅しており、国際法上「個人請求権」が存在しないのは明白だと指摘した。つまり判決は、根拠も大前提も国際法上も身勝手でスキだらけというわけだ。
そして、こう指弾する。
〈判決は、韓国の大法院の拭い去れない“黒い歴史”となりました。大法院の判事たちは、恥を知らなければなりません〉
とはいえ、末期に入る文在寅政権が支持率を上げるため、判決で差し押さえられた日本企業の資産の現金化を強行する可能性は高い。
また文政権は明らかに李氏らの動向に苛立っている。今年7月、文政権の与党幹部・宋永吉議員が先導し、徴用工や慰安婦遺族が李氏ら執筆陣を名誉毀損で刑事告訴した。
「我々に共感する人々は確実に増えました」
一方、李氏らは宋議員らを名誉毀損で逆告訴した。だが、事案が与党議員がらみとあって検察当局の動きは鈍く、「政府の顔色をみてひるんでいるようだ」(関係者)と起訴に至っていない。
挑発的な文政権批判を展開する李氏らへの風当たりが予想されるが、当の李氏は意気軒昂にこう語る。
「『反日種族主義』は大きなインパクトがあった。我々に共感する人々は確実に増えました」
李氏ら執筆陣は「事実は勝つ!」と言っている。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年9月24日号
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『反日種族主義』の刊行は“事件”だった
編著者の李栄薫氏
反日こそが愛国、まして学者の反日批判は「学者としての自殺行為」といわれる韓国で、『反日種族主義』の刊行は“事件”だった。
編著者の李栄薫・元ソウル大教授らは強烈な抵抗と罵倒を受けたのだ。当時、政権中枢にいだ国前法相は「吐き気を催す本」とこき下ろした。執筆陣のひとりは暴漢に襲われ、「売国奴」と暴言を浴びせられた。この1年あまりに刊行された批判書は7冊におよぶ。
「徴用工問題」の原告4人は徴用工ではなかった
第2弾『反日種族主義との闘争』はこうした猛反発への再反論だ。実は前著の出版時から構想されていた。李氏らは、韓国史のなかで岩盤のようにぶ厚い「慰安婦は性奴隷」「徴用工は強制労働」などの通説を論破するには、守旧学者らとの激論が必須と考えたからだ。
本書で目を引くのは、日韓関係が悪化した核心、徴用工問題の検証だ。
大法院(最高裁判所)は、2018年10月、新日鉄住金(現日本製鉄)に対して、原告である韓国人4人が戦時中に労働内容や条件を知らないまま、劣悪な環境で働かせられたことは「反人道的な不法行為」にあたると認定し、1人あたり約900万円の賠償を命じた。
本書は判決の不当性を論証していく。資料を紐解くと、そもそも4人は自らの意志で募集に応じた労働者で、徴用工ではなかった。労働実態を調べると、賃金も支給されていた。
また、判決は「植民地支配は不法」ということを前提にしている。しかし、本書は1910年の韓国併合や65年の日韓国交正常化の史実を検証し、大法院に対して「半世紀後に一国の司法部が相手国の国民に賠償を命じることはあり得ません」と断じた。
判決は、韓国の“黒い歴史”となった
さらに、65年に結んだ日韓請求権協定で外交的保護権も消滅しており、国際法上「個人請求権」が存在しないのは明白だと指摘した。つまり判決は、根拠も大前提も国際法上も身勝手でスキだらけというわけだ。
そして、こう指弾する。
〈判決は、韓国の大法院の拭い去れない“黒い歴史”となりました。大法院の判事たちは、恥を知らなければなりません〉
とはいえ、末期に入る文在寅政権が支持率を上げるため、判決で差し押さえられた日本企業の資産の現金化を強行する可能性は高い。
また文政権は明らかに李氏らの動向に苛立っている。今年7月、文政権の与党幹部・宋永吉議員が先導し、徴用工や慰安婦遺族が李氏ら執筆陣を名誉毀損で刑事告訴した。
「我々に共感する人々は確実に増えました」
一方、李氏らは宋議員らを名誉毀損で逆告訴した。だが、事案が与党議員がらみとあって検察当局の動きは鈍く、「政府の顔色をみてひるんでいるようだ」(関係者)と起訴に至っていない。
挑発的な文政権批判を展開する李氏らへの風当たりが予想されるが、当の李氏は意気軒昂にこう語る。
「『反日種族主義』は大きなインパクトがあった。我々に共感する人々は確実に増えました」
李氏ら執筆陣は「事実は勝つ!」と言っている。
「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年9月24日号
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