機器を使ったり、はたまた情を通じたり、あの手この手のスクープ合戦は保秘作業の勝利に終わった。政治部デスクは、
「官邸の植木に盗聴器が仕込まれていないかチェックする念の入れよう。有識者懇のメンバーは、菅さん(義偉官房長官)が新元号の発表を終えるまで官邸内に留め置かれました。事前には、メンバーから携帯電話を回収し、ジュラルミンケースに保管する話もありました」
と裏事情を明かす。実際、有識者懇メンバーによると、
「官邸の会議室に入ってすぐに携帯の電源を切って事務方に渡しました。封筒に入れてホチキス留めされていましたね」
他方、こうした政府の情報統制に徒手空拳で立ち向かったのが、他ならぬ赤松広隆衆院副議長だった。
「政府が携帯電話の回収を強制するのは、民主主義の危機だと、最後まで首を縦に振りませんでした。意見聴取の場でも、複数の元号案について“これは別の読み方もあるじゃないか”と、難癖をつけたと聞いています。ただ、肝心の令和には“選ばれるとは思わなかった”ということで、意見しなかったそうです」(同)
無駄な抵抗はやめなさい――。そんな官邸の呼びかけが聞こえなくもない。
■宮崎緑が明かす「有識者懇」秘話
そんな有識者懇について、
「厳粛な中でも和やかな雰囲気で進みました」
と語るのは、メンバー9名のうちの一人、宮崎緑千葉商科大学教授(61)。
最初に、元号案の意味や出典について、杉田和博官房副長官が説明。
「(六つ示された)元号案には、漢籍由来のものもありましたし、令和の他にも日本の古典から採用されたものもありました。メンバーはみな、率直に意見を仰っていました。それぞれ1人ずつ発言し、最後に少しフリーディスカッションのような時間もありました。自然に良い議論ができたと思います。結論を出す場ではありませんでしたが、令和については支持する意見が多かったと思います」
新元号については、
「日本文化とは何か、我々のアイデンティティは何で、心の拠り所をどこに置けばいいのかと社会が揺れている中で、良い元号になったと思っています。令和にはある種のメッセージが込められていると思いますから」
その独特な着物姿も、“まるで、卑弥呼のようだ”と注目された。「令」には「神のおつげ」の意もある。
「話題になったんですか? 私は奄美で長いこと美術館の館長を務めておりまして、日頃からその文化、伝統を非常に大事にしております。あれは奄美の白(大島)紬でして、現地ではしょっちゅうあの恰好をしていますし、大使館のレセプションなど大事なイベントでは日本の文化を伝えるという意味でも、よく着ているものです」
勝負服が36分間を「和」やかに導いたのかもしれない。
2につづく
デイリー新潮
週刊新潮 2019年4月11日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2019/04100558/