http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/2018/04/17/sataka-21/
立憲民主党の失格幹事長、福山哲郎へ
佐高信|2018年4月17日4:43PM
4月8日に投開票される京都府知事選挙に自民党と公明党が推薦する前復興庁事務次官の西脇隆俊が立候補しました。それに民進党、希望の党、そして立憲民主党が相乗りしたと知って、開いた口がふさがりません。
希望ならぬ絶望の党の前原誠司は、もう「終わった人」だからともかく、同じ京都育ちのあなたまで、それに乗っかるとはどういうことですか。いま、安倍(晋三)政治を倒そうと国会で対決しているのに、京都でその安倍と手を組む政治センスのなさは、上げ潮ムードの立憲民主党の幹事長として失格でしょう。
あなたも前原も松下政経塾の出身ですが、私は同塾を松下未熟塾と皮肉ってきました。それが露わになったということですね。
自由党と社民党は自主投票だとか。せめて、そうすることはできなかったのですか。
対立候補は共産党が推薦する市民候補の福山和人です。
私は求められて、この候補を推薦し、次のようなメッセージを送りました。
「革新都知事として名高い美濃部亮吉は、時の首相・佐藤栄作の暴政に対して『ストップ・ザ・サトウ』というスローガンを掲げた。美濃部の精神を継ぐ福山和人が高らかに訴えるのは『ストップ・ジ・アベ』である」
西脇候補は連合京都も支援しています。そのために、原発ゼロを強調できません。
希望の党合流に際して前原と小池百合子の会談に同席しながら何の役にも立たなかった連合会長の神津里季生に期待する気はないけれども、連合はどこまで、そして、いつまで安倍にだまされるつもりなのか。
自民党と組むのが「まっとうな政治」か
だいたい、連合はその発足時から、いかがわしい臭いがしました。
私は『世界』の1993年6月号で初代会長の山岸章にインタビューしたのですが、彼は「自民党より共産党の方が遠い」という意味のことを言ったのです。共産党の人間が組合の中で反幹部闘争をやったりしているので、「仲よくしたくない」とのことでした。
しかし、働く者の味方はどちらなのでしょうか。そこのスタンスがはっきりしていないから、「地方政治は別」などと言いわけして、安倍と手を組むことになってしまうのです。山岸から神津まで、残念ながらその使い分けは変わっていないと言わなければなりません。
何よりもこれだけ派遣労働者が増えたことは、連合が無用の長物と化していることの証明でしょう。
この間の立憲民主党のキャッチコピーは、福山が提案した「まっとうな政治。」でした。それに共鳴して多くの人が票を投じ、立憲民主党は躍進したわけですが、京都府知事選で自民党と組むのは「まっとうな政治」ですか?
もちろん、いくら京都が選挙区とはいえ、福山だけを責めるわけにもいきません。最終的には代表の枝野幸男も了承したのでしょう。
私が立憲民主党のゆくえに無関心でいられないのは、2016年1月22日付の『朝日新聞』「天声人語」に次のように書かれたからです。
〈民主党は「立憲民主党」と党名を改めてはどうか。評論家の佐高信さんが提案した。戦後、立憲を名乗る政党はなかったからと同調する声が出た。19日、「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」設立の記者会見でのことだ〉
枝野もこの党名を以前から温めていたそうなので、別に私が名付け親だとしゃしゃり出る気はありませんが、あえて「立憲」と名づけたなら、やはり「非立憲」の安倍とは対決しなければならないでしょう。京都で手を組むなど、もってのほかです。
(さたか まこと・『週刊金曜日』編集委員、2018年3月30日号)
※編注〈16年ぶりに新顔同士の対決となった京都府知事選は8日投開票され、前復興庁事務次官の西脇隆俊氏(62)=自民、立憲、希望、公明、民進推薦=が、弁護士の福山和人氏(57)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。いずれも無所属。4期務めて退任する山田啓二知事の後継者だと強調した西脇氏は、非共産の5政党の支援を受けて支持を集めた。投票率は35・17%(前回34・45%)だった。〉(朝日新聞デジタル)
京都府知事選の確定得票数は下記の通り。
当 40万2672票 西脇隆俊
31万7617票 福山和人
立憲民主党の失格幹事長、福山哲郎へ
佐高信|2018年4月17日4:43PM
4月8日に投開票される京都府知事選挙に自民党と公明党が推薦する前復興庁事務次官の西脇隆俊が立候補しました。それに民進党、希望の党、そして立憲民主党が相乗りしたと知って、開いた口がふさがりません。
希望ならぬ絶望の党の前原誠司は、もう「終わった人」だからともかく、同じ京都育ちのあなたまで、それに乗っかるとはどういうことですか。いま、安倍(晋三)政治を倒そうと国会で対決しているのに、京都でその安倍と手を組む政治センスのなさは、上げ潮ムードの立憲民主党の幹事長として失格でしょう。
あなたも前原も松下政経塾の出身ですが、私は同塾を松下未熟塾と皮肉ってきました。それが露わになったということですね。
自由党と社民党は自主投票だとか。せめて、そうすることはできなかったのですか。
対立候補は共産党が推薦する市民候補の福山和人です。
私は求められて、この候補を推薦し、次のようなメッセージを送りました。
「革新都知事として名高い美濃部亮吉は、時の首相・佐藤栄作の暴政に対して『ストップ・ザ・サトウ』というスローガンを掲げた。美濃部の精神を継ぐ福山和人が高らかに訴えるのは『ストップ・ジ・アベ』である」
西脇候補は連合京都も支援しています。そのために、原発ゼロを強調できません。
希望の党合流に際して前原と小池百合子の会談に同席しながら何の役にも立たなかった連合会長の神津里季生に期待する気はないけれども、連合はどこまで、そして、いつまで安倍にだまされるつもりなのか。
自民党と組むのが「まっとうな政治」か
だいたい、連合はその発足時から、いかがわしい臭いがしました。
私は『世界』の1993年6月号で初代会長の山岸章にインタビューしたのですが、彼は「自民党より共産党の方が遠い」という意味のことを言ったのです。共産党の人間が組合の中で反幹部闘争をやったりしているので、「仲よくしたくない」とのことでした。
しかし、働く者の味方はどちらなのでしょうか。そこのスタンスがはっきりしていないから、「地方政治は別」などと言いわけして、安倍と手を組むことになってしまうのです。山岸から神津まで、残念ながらその使い分けは変わっていないと言わなければなりません。
何よりもこれだけ派遣労働者が増えたことは、連合が無用の長物と化していることの証明でしょう。
この間の立憲民主党のキャッチコピーは、福山が提案した「まっとうな政治。」でした。それに共鳴して多くの人が票を投じ、立憲民主党は躍進したわけですが、京都府知事選で自民党と組むのは「まっとうな政治」ですか?
もちろん、いくら京都が選挙区とはいえ、福山だけを責めるわけにもいきません。最終的には代表の枝野幸男も了承したのでしょう。
私が立憲民主党のゆくえに無関心でいられないのは、2016年1月22日付の『朝日新聞』「天声人語」に次のように書かれたからです。
〈民主党は「立憲民主党」と党名を改めてはどうか。評論家の佐高信さんが提案した。戦後、立憲を名乗る政党はなかったからと同調する声が出た。19日、「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」設立の記者会見でのことだ〉
枝野もこの党名を以前から温めていたそうなので、別に私が名付け親だとしゃしゃり出る気はありませんが、あえて「立憲」と名づけたなら、やはり「非立憲」の安倍とは対決しなければならないでしょう。京都で手を組むなど、もってのほかです。
(さたか まこと・『週刊金曜日』編集委員、2018年3月30日号)
※編注〈16年ぶりに新顔同士の対決となった京都府知事選は8日投開票され、前復興庁事務次官の西脇隆俊氏(62)=自民、立憲、希望、公明、民進推薦=が、弁護士の福山和人氏(57)=共産推薦=を破り、初当選を果たした。いずれも無所属。4期務めて退任する山田啓二知事の後継者だと強調した西脇氏は、非共産の5政党の支援を受けて支持を集めた。投票率は35・17%(前回34・45%)だった。〉(朝日新聞デジタル)
京都府知事選の確定得票数は下記の通り。
当 40万2672票 西脇隆俊
31万7617票 福山和人