2017年12月19日 朝刊 中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017121902000063.html
防衛省は十八日、沖縄県宜野湾市の市立普天間第二小に米軍のCH53E大型輸送ヘリコプター操縦席窓が落下した事故を巡り、同型機の飛行再開を容認する方針を発表した。「事故原因は人的ミスで構造的欠陥でない」とする在日米軍の説明を受け入れた。米側は十九日以降に飛行を再開すると日本側に伝えた。小学校の運動場にヘリの窓が落下する重大な事故から五日後の飛行再開容認に対し、沖縄県側は政府不信を強め、猛反発した。
在日米海兵隊は十八日の声明で「安全な飛行のための全機の包括的な点検を行った」として、同型機の飛行再開の準備が整ったとの認識を示した。
防衛省と在日米軍は、普天間飛行場周辺の学校上空における航空機の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことを確認。安全確保のために例外的に飛行する場合があり、飛行した際の罰則も設けられていない。
これに先立ち、米海兵隊太平洋基地政務外交部長のクラーク大佐は同校を訪れ「学校、地域に計り知れない不安を与え、おわびする」と謝罪した。学校上空の飛行を極力回避することも伝達した。
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は飛行再開に関し「本当にとんでもないことだ。(飛行再開を止められない政府は)当事者能力がない」と批判。「もう米軍は良き隣人ではない」とも指摘した。県庁で記者団に語った。
防衛省が発表した見解は「再開のための措置が取られたと判断できる」と指摘。米軍から受けた事故原因の説明として(1)窓のレバーが安全ワイヤで適切に固定されていないことを見落とした(2)レバーが誤って、または不注意で緊急脱出の位置に動かされたことによって窓が航空機から離脱した(3)他の航空機とは無関係と結論付けた−と列挙した。
◇
宜野湾市の小学校運動場に米軍ヘリコプターの窓が落下した十三日の事故から一週間足らずで日本政府が同型機の飛行再開を容認。「命を軽視している」「納得できない」。県民からは強い反発の声が上がった。
事故があった普天間第二小に六年の長男(12)が通う宮城智子さん(48)は「事故が繰り返されているのに、何をもって安全が確保されたと言えるのか。米軍は市民にきちんと説明するべきだ」と批判。早期再開を認めた政府の対応にもあきれた様子だった。
宜野湾市では今月七日にも「緑ケ丘保育園」に円筒状の物体が上空から落下する事故があった。けが人はなかったが、同時間帯には米軍ヘリが付近を飛行していた。三歳の娘がいる与那城千恵美さん(44)は「子どもを安心して保育園に通わせられない」と不安を語り、神谷武宏園長(55)も「政府は米軍のいいなりだ。子どもたちの命を真剣に考えるならば、飛行再開を許してはいけない」と憤った。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2017121902000063.html
防衛省は十八日、沖縄県宜野湾市の市立普天間第二小に米軍のCH53E大型輸送ヘリコプター操縦席窓が落下した事故を巡り、同型機の飛行再開を容認する方針を発表した。「事故原因は人的ミスで構造的欠陥でない」とする在日米軍の説明を受け入れた。米側は十九日以降に飛行を再開すると日本側に伝えた。小学校の運動場にヘリの窓が落下する重大な事故から五日後の飛行再開容認に対し、沖縄県側は政府不信を強め、猛反発した。
在日米海兵隊は十八日の声明で「安全な飛行のための全機の包括的な点検を行った」として、同型機の飛行再開の準備が整ったとの認識を示した。
防衛省と在日米軍は、普天間飛行場周辺の学校上空における航空機の飛行を「最大限可能な限り避ける」ことを確認。安全確保のために例外的に飛行する場合があり、飛行した際の罰則も設けられていない。
これに先立ち、米海兵隊太平洋基地政務外交部長のクラーク大佐は同校を訪れ「学校、地域に計り知れない不安を与え、おわびする」と謝罪した。学校上空の飛行を極力回避することも伝達した。
沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は飛行再開に関し「本当にとんでもないことだ。(飛行再開を止められない政府は)当事者能力がない」と批判。「もう米軍は良き隣人ではない」とも指摘した。県庁で記者団に語った。
防衛省が発表した見解は「再開のための措置が取られたと判断できる」と指摘。米軍から受けた事故原因の説明として(1)窓のレバーが安全ワイヤで適切に固定されていないことを見落とした(2)レバーが誤って、または不注意で緊急脱出の位置に動かされたことによって窓が航空機から離脱した(3)他の航空機とは無関係と結論付けた−と列挙した。
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宜野湾市の小学校運動場に米軍ヘリコプターの窓が落下した十三日の事故から一週間足らずで日本政府が同型機の飛行再開を容認。「命を軽視している」「納得できない」。県民からは強い反発の声が上がった。
事故があった普天間第二小に六年の長男(12)が通う宮城智子さん(48)は「事故が繰り返されているのに、何をもって安全が確保されたと言えるのか。米軍は市民にきちんと説明するべきだ」と批判。早期再開を認めた政府の対応にもあきれた様子だった。
宜野湾市では今月七日にも「緑ケ丘保育園」に円筒状の物体が上空から落下する事故があった。けが人はなかったが、同時間帯には米軍ヘリが付近を飛行していた。三歳の娘がいる与那城千恵美さん(44)は「子どもを安心して保育園に通わせられない」と不安を語り、神谷武宏園長(55)も「政府は米軍のいいなりだ。子どもたちの命を真剣に考えるならば、飛行再開を許してはいけない」と憤った。