https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171005-00000004-mai-pol
脱原発は本当か−−。希望の党(代表・小池百合子東京都知事)が「2030年までに原発ゼロ」を衆院選の公約に掲げたものの、党が公認候補と結ぶ政策協定の「踏み絵」から外し、脱原発を望む人たちの間で期待と疑念が交錯している。一方、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に慎重だった泉田裕彦前知事も、再稼働を進める自民党からの出馬を決めており、立候補予定者の原発へのスタンスが見えづらくなっている。【関谷俊介、金沢衛、降旗英峰】
「希望の党の原発ゼロは歓迎したいが、本当に信用できるのか」。原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機に「合格」を出した4日昼ごろ。規制委が入る都内のビル前で抗議活動をしていた男性(77)はこう言って首をひねった。
自民に所属していた小池氏はこれまで「原発ゼロ」を主張したことはなかった。3日、脱原発にかじを切った理由を「(福島第1原発事故の)処理を見ているとなかなか厳しいと考えるに至った」と記者団に説明した。ただ、「規制委が総合的に判断した再稼働に異存を唱える気はない」と語り、再稼働は認める方針だ。
希望の公認候補の中には「原発は必要」と主張してきた前議員もいる。2年前に再稼働した九州電力川内原発がある鹿児島3区の野間健氏は、前回14年衆院選に無所属で立候補し、保守層に加え電力系労組の支援も得て自民候補を破った。それだけに国政報告会などでは原発に触れず、陣営関係者も「原発について聞かれたら、どう答えたらいいかわからない」と困惑する。
一方、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」世話人を務める民進前衆院議員たちは、立憲民主党に流れている。
規制委のビルの前で再稼働反対を叫ぶ人の中にいた神奈川県鎌倉市の男性(78)は先月上旬、泉田氏の「ファンクラブ」主催の都内の集いに参加した。衆院補選に自民から出馬すると報じられていたことから「自民から出たらあなたの信条がなくなる。無所属から出てほしい」と訴えたが、泉田氏には「そういう選択肢もありますね」と笑いながらかわされたという。
それから20日ほどたった先月29日、泉田氏は出馬表明の記者会見で「(柏崎刈羽原発の再稼働より)福島第1原発事故の検証と総括が先決」と知事時代からの持論を展開した。自民から出馬する真意を問われると「与党内から原子力政策の欠陥を是正する」と強調した。
泉田氏が立候補する新潟5区の長岡市で反原発の市民運動をしている男性(63)は「東電に毅然(きぜん)とした態度を取ってきたと思っていたのに、裏切られた」と肩を落とす。
12年衆院選で政権を奪還した自民は当時の公約で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」をうたった。だが、安倍政権は14年4月、エネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード電源(安定供給できる電源)」と位置付け、15年6月には30年度の電源構成に占める原発の比率を20〜22%と決めた。
今後、法に従って運転40年を超える原発の再稼働を一切認めないとしても、30年度の原発比率は15%までしか下がらない。東京理科大の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「30年ゼロの達成は非常に難しい。本当に実現できるのか、希望の党は公約に掲げる前に工程表を示すべきだ。自民、公明党も工程表を作っておらず、どちらも無責任だ」と指摘している。
脱原発は本当か−−。希望の党(代表・小池百合子東京都知事)が「2030年までに原発ゼロ」を衆院選の公約に掲げたものの、党が公認候補と結ぶ政策協定の「踏み絵」から外し、脱原発を望む人たちの間で期待と疑念が交錯している。一方、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に慎重だった泉田裕彦前知事も、再稼働を進める自民党からの出馬を決めており、立候補予定者の原発へのスタンスが見えづらくなっている。【関谷俊介、金沢衛、降旗英峰】
「希望の党の原発ゼロは歓迎したいが、本当に信用できるのか」。原子力規制委員会が柏崎刈羽原発6、7号機に「合格」を出した4日昼ごろ。規制委が入る都内のビル前で抗議活動をしていた男性(77)はこう言って首をひねった。
自民に所属していた小池氏はこれまで「原発ゼロ」を主張したことはなかった。3日、脱原発にかじを切った理由を「(福島第1原発事故の)処理を見ているとなかなか厳しいと考えるに至った」と記者団に説明した。ただ、「規制委が総合的に判断した再稼働に異存を唱える気はない」と語り、再稼働は認める方針だ。
希望の公認候補の中には「原発は必要」と主張してきた前議員もいる。2年前に再稼働した九州電力川内原発がある鹿児島3区の野間健氏は、前回14年衆院選に無所属で立候補し、保守層に加え電力系労組の支援も得て自民候補を破った。それだけに国政報告会などでは原発に触れず、陣営関係者も「原発について聞かれたら、どう答えたらいいかわからない」と困惑する。
一方、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロの会」世話人を務める民進前衆院議員たちは、立憲民主党に流れている。
規制委のビルの前で再稼働反対を叫ぶ人の中にいた神奈川県鎌倉市の男性(78)は先月上旬、泉田氏の「ファンクラブ」主催の都内の集いに参加した。衆院補選に自民から出馬すると報じられていたことから「自民から出たらあなたの信条がなくなる。無所属から出てほしい」と訴えたが、泉田氏には「そういう選択肢もありますね」と笑いながらかわされたという。
それから20日ほどたった先月29日、泉田氏は出馬表明の記者会見で「(柏崎刈羽原発の再稼働より)福島第1原発事故の検証と総括が先決」と知事時代からの持論を展開した。自民から出馬する真意を問われると「与党内から原子力政策の欠陥を是正する」と強調した。
泉田氏が立候補する新潟5区の長岡市で反原発の市民運動をしている男性(63)は「東電に毅然(きぜん)とした態度を取ってきたと思っていたのに、裏切られた」と肩を落とす。
12年衆院選で政権を奪還した自民は当時の公約で「原子力に依存しなくてもよい経済・社会構造の確立」をうたった。だが、安倍政権は14年4月、エネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード電源(安定供給できる電源)」と位置付け、15年6月には30年度の電源構成に占める原発の比率を20〜22%と決めた。
今後、法に従って運転40年を超える原発の再稼働を一切認めないとしても、30年度の原発比率は15%までしか下がらない。東京理科大の橘川武郎教授(エネルギー産業論)は「30年ゼロの達成は非常に難しい。本当に実現できるのか、希望の党は公約に掲げる前に工程表を示すべきだ。自民、公明党も工程表を作っておらず、どちらも無責任だ」と指摘している。