読売
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240620-OYT1T50215/
2024/06/21 07:20
携帯電話市場の競争ルールを検証する総務省の有識者会議は20日、携帯の契約を新たに結ぶ際、利用者が通信品質を確かめるため、通信料金を一定期間割り引く「お試し」制度の容認を柱とした報告書案をまとめた。後発の楽天モバイルが規制緩和を求めていたもので、競争を促進する狙いがある。(小野卓哉)
新規契約を条件にした割引は、電気通信事業法の運用指針により、楽天を含めた携帯大手4社とその系列会社に禁止されている。
お試し制度では、契約後6か月以内に限り割引を容認する。総額は2万円以内とし、現行で認められているポイント還元の上限と同額とした。利用者が割引サービスを受けるのは1社につき1度のみとする。
割引容認の背景には、携帯市場で続く寡占状況がある。総務省はこれまでも、格安スマートフォン事業者などへの乗り換えを促してきた。しかし、総務省によると、2022年度末のNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの大手3社のシェア(占有率)は計9割を占める。
楽天モバイルは、有識者会議で「利用者は新規参入事業者への乗り換えに不安があり、きっかけがないと試せない」とし、見直しを訴えていた。
報告書案は、「乗り換えを加速するため、検討先事業者の通信サービスを『お試し』として利用しやすくすることが重要」と言及。乗り換え時の割引を認め、利用者の負担を軽減することで、競争を促したい考えだ。
報告書案はこのほか、中古スマホの流通促進策も盛り込んだ。中古を買った利用者に対し、前の持ち主の端末代金滞納などを理由に、通信会社が行っていた利用制限を原則禁止。利用者が安心して中古を購入できるようにする。
一方、盗難など不正に入手されたスマホへの対策は強化する。現在は、前の持ち主が契約していた通信会社とは別の会社の回線を使えば、盗品でもスマホを利用できる。通信各社が盗難品の情報を共有する仕組みを整備し、協力して利用を制限できるようにする。有識者会議は、意見公募を経て、今夏にも報告書をまとめる。総務省は年内にも、関連する指針などを改正する見通しだ。