厚生労働省は18歳未満の子どもや65歳未満の配偶者を扶養する厚生年金受給者を対象に、年金額を上乗せする加給年金制度を見直す。出生順に関係なく上乗せ額を一律にして受給額も引き上げる。配偶者が対象の加算は将来的に縮小する。
2025年の年金制度改正での実現を目指す。加給年金制度のうち、子どもに関わる加算を増やす。24年度の加算額は第2子までが年23万4800円、第3子以降は年7万8300円となっている。厚労省は第3子以降の金額を第1子、2子と同額にして、受給額も引き上げる方針だ。
3日に開いた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で案を示した。受給要件の厚生年金加入期間は、20年以上から10年以上に短縮する。増額幅は民間企業や公務員に対する扶養手当などを参考に検討する。
晩産化や共働き世帯の増加など社会情勢の変化を受けて、基礎年金や障害厚生年金、遺族厚生年金についても新たに加算制度を設ける。拡充対象総数は33万人程度を見込む。
現行では自営業者などが加入する国民年金と会社員が加入する厚生年金について、子を対象とする加算がつく場合とつかない場合がある。厚労省は共通の制度にすることで、全ての子育て世帯が同程度の保障を受けられるようにする。
配偶者を対象とする加算については将来的に縮小する。現在は配偶者が65歳になるまでの間、一定の要件を満たせば年金受給権のある夫か妻の受給額が増額される。24年度は年23万4800円に加え、最大年17万円程度の特別加算がつく。
厚労省は女性の就業率の向上を踏まえ、将来的に受給権を得る人に限り受給額を減らす。現在受給している人の受給額は維持して生活に影響が出ないよう配慮する。3日の部会では委員から大筋で了承する声が多く聞かれたが、一部慎重な意見もあった。
加算額や施行時期などは今後詰める。年内に改正方針を取りまとめ、25年の通常国会に提出する年金制度改革関連法案に盛り込む。子の加算拡充には一定の財源が必要となり、財源確保が課題となりそうだ。
日本経済新聞
2024年12月3日 14:04 (2024年12月3日 17:27更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA030M00T01C24A2000000/