毎日新聞2023/1/31 20:42
https://mainichi.jp/articles/20230131/k00/00m/020/324000c
1900年創業の北海道帯広市の老舗百貨店「藤丸」が31日、閉店した。市民が愛着を込めて「藤丸さん」と呼ぶ市街地の「顔」だったが、業績不振で122年の歴史に幕を下ろした。市民が別れを惜しむ中、最後の営業を終えて正面玄関のシャッターを下ろした。
最終日は午前10時の営業開始前から大勢の市民らが訪れ、店内には長蛇の列ができた。毎朝、正面玄関で来店客を出迎えてきた藤本長章社長(69)は「数多くの方々が思い出を探しに来ているのだと思う。お客様に勇気をいただき、背中を押してもらってここまでやってきた。ありがたいの一言」と感慨深げに言葉を紡いだ。
道内資本最後の百貨店だった藤丸は、郊外型商業施設などとの競合で経営が悪化。年間売上高は92年度のピーク時に145億円に達したが、2021年度には約44億円にまで落ち込んだ。減資など経営安定化策を講じたが業績は好転せず、赤字決算が続き、22年7月に閉店方針を示した。
連日、閉店を惜しむ市民らが来店し、最終日も各フロアには続々と客が詰めかけた。市内の男性(73)は「寒い中で福袋を買うために並んだのを思い出す。ただ寂しく残念だ」と声を落とした。
午後7時の営業終了後に1階で閉店セレモニーが行われ、来店客を前に藤本社長が感謝の言葉を述べ、正面玄関のシャッターが下ろされた。藤本社長は「従業員は再就職もそっちのけで最後まで頑張ってくれた。本当に頭が下がる」と感極まった表情を見せ、閉店まで奮闘した社員らをねぎらった。
閉店後は市内の企業2社が出資した新会社「藤丸株式会社」が屋号を引き継いで再建に取り組み、百貨店機能の一部を残した新業態で営業再開を目指すが、開業は早くて今年12月以降の見込みだ。
一方、藤丸が直接雇用する従業員約150人のうち、店内販売の業務に就いていた女性を中心に約7割の再就職が未定で、閉店後も就職支援が大きな課題になる。【鈴木斉】
https://mainichi.jp/articles/20230131/k00/00m/020/324000c
1900年創業の北海道帯広市の老舗百貨店「藤丸」が31日、閉店した。市民が愛着を込めて「藤丸さん」と呼ぶ市街地の「顔」だったが、業績不振で122年の歴史に幕を下ろした。市民が別れを惜しむ中、最後の営業を終えて正面玄関のシャッターを下ろした。
最終日は午前10時の営業開始前から大勢の市民らが訪れ、店内には長蛇の列ができた。毎朝、正面玄関で来店客を出迎えてきた藤本長章社長(69)は「数多くの方々が思い出を探しに来ているのだと思う。お客様に勇気をいただき、背中を押してもらってここまでやってきた。ありがたいの一言」と感慨深げに言葉を紡いだ。
道内資本最後の百貨店だった藤丸は、郊外型商業施設などとの競合で経営が悪化。年間売上高は92年度のピーク時に145億円に達したが、2021年度には約44億円にまで落ち込んだ。減資など経営安定化策を講じたが業績は好転せず、赤字決算が続き、22年7月に閉店方針を示した。
連日、閉店を惜しむ市民らが来店し、最終日も各フロアには続々と客が詰めかけた。市内の男性(73)は「寒い中で福袋を買うために並んだのを思い出す。ただ寂しく残念だ」と声を落とした。
午後7時の営業終了後に1階で閉店セレモニーが行われ、来店客を前に藤本社長が感謝の言葉を述べ、正面玄関のシャッターが下ろされた。藤本社長は「従業員は再就職もそっちのけで最後まで頑張ってくれた。本当に頭が下がる」と感極まった表情を見せ、閉店まで奮闘した社員らをねぎらった。
閉店後は市内の企業2社が出資した新会社「藤丸株式会社」が屋号を引き継いで再建に取り組み、百貨店機能の一部を残した新業態で営業再開を目指すが、開業は早くて今年12月以降の見込みだ。
一方、藤丸が直接雇用する従業員約150人のうち、店内販売の業務に就いていた女性を中心に約7割の再就職が未定で、閉店後も就職支援が大きな課題になる。【鈴木斉】