Newsweek Japan2023/01/29
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/matsuo_a/2023/01/mascarilla-transportepublico.php
■マスクに対する価値観と同調圧力
パンデミック前からマスクの存在に慣れていた日本人と、生きてきてこれまでマスクなど着けたこともなかったスペイン人では、「マスク」という口を覆うものの存在に対する感覚に大きな違いがあるようです。このパンデミック渦で発せられたマスク着用措置に対してのリアクションの違いは、そういった価値観の相違からきているものではないでしょうか。また個々の自由を尊重されてきた個人主義なスペイン人と、集団の中での振る舞いを教えられてきた集団主義な日本人とでは性質的な違いもあるようです。例えば先日スペインで行われた反政府デモでは、デモ隊からパンデミック渦中に外出制限を科した首相に対して「あいつは国民を監禁した犯罪者だ」という批判の声が上がっていました。スペイン人は個人の自由が奪われることに対して強い反発心を持っているようで、他人から何かを制限されたり自分の意思と反した行動を強いられることに対して強い抵抗感を覚えるようです。一方、日本人は個々では嫌だなぁと思っていても、その特性から「みんながやっているなら自分もやらなくてはいけない」という空気を感じて、抵抗するよりも自分の意思に反して周りと同じ行動をとることに安心感を覚える人が多いように感じます。マスクをつけなければいけないという同調圧力があるという話も聞いたことがあります。
■マスクに対する拒否反応
現在私の周りでは風邪のウイルスが流行っており、私も数週間咳や喉の痛みが続いたことがありました。空気も乾燥していたので喉を潤わす目的でマスクをつけていたのですが、それを見た友人が眉間にシワを寄せ「え・・?なんでマスクなんてつけてるの?変だから取りなよ」と注意してきたのです。日本では乾燥や花粉、病気の感染を防ぐためでなく、他人に病気を移さないための配慮としてなど様々な目的からマスクを使用しますが、スペインではマスクをそのような理由で使用する人はほとんどいません。そればかりか顔を覆ってしまうマスクをつけている人と話をするのは、なんだか背を向けて話をされているような「拒絶されている」という感覚を持ってしまうのだそう。表情が読み取りにくくコミュニケーションがとりにくいし、それを失礼だと感じることもあるのだというのです。マスクを外さなければいけないという同調圧力とまではいきませんが、マスクをつけていると神経質すぎる人という印象を与えてしまうようです。
■人とのコミュニケーションが大好きなお国柄
スペインでは人と会ったときや別れ際には両頬にキスをして挨拶をします。男性同士の場合は握手やハグのことが多いですが、どちらにしてもスキンシップが日常的に行われるお国柄。そして友達や家族と過ごす時間を大切にし、「群れる」ことを好む人が多い印象があります。ソーシャルディスタンスを保つように言われたり、マスクで相手の表情が見えない状態が続くというのはスペイン人にとってはとても孤独で苦痛だったに違いありません。私の周りではほとんどの人がすでに最低1回はコロナウイルスに感染しており、彼らは「予防していたとしてもかかる時はかかる。感染対策なんて意味がない」と開き直って、今は予防や対策はほとんど行わずパンデミック以前と同じようなソーシャルライフを楽しんでいます。感染拡大の緩和が日本よりスピーディーなのは、こう言った国民性や文化が大きく関係しているのかもしれませんね。
■「個人の判断に委ねる」の無責任感
さて、日本ではコロナウイルスを5類に引き下げるのに伴ってマスク着用を「個人の判断に委ねる」としていますが、私はこの発表をとても無責任だと感じています。政府は国民から批判を受けることを避けるためにこういったふんわりした表現をしたのだと推測しますが、このように政府が責任逃れの規制緩和ばかりしているといつまでたってもコロナウイルスとの共存は実現しないのではないのでしょうか。日本人の国民性を理解しているのであれば、政府からはっきりと「原則不要」「着用義務撤廃」など、「マスクはしなくていいですよ」と表現するべきだと思います。
※長文の為全文は引用先で
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/matsuo_a/2023/01/mascarilla-transportepublico.php
■マスクに対する価値観と同調圧力
パンデミック前からマスクの存在に慣れていた日本人と、生きてきてこれまでマスクなど着けたこともなかったスペイン人では、「マスク」という口を覆うものの存在に対する感覚に大きな違いがあるようです。このパンデミック渦で発せられたマスク着用措置に対してのリアクションの違いは、そういった価値観の相違からきているものではないでしょうか。また個々の自由を尊重されてきた個人主義なスペイン人と、集団の中での振る舞いを教えられてきた集団主義な日本人とでは性質的な違いもあるようです。例えば先日スペインで行われた反政府デモでは、デモ隊からパンデミック渦中に外出制限を科した首相に対して「あいつは国民を監禁した犯罪者だ」という批判の声が上がっていました。スペイン人は個人の自由が奪われることに対して強い反発心を持っているようで、他人から何かを制限されたり自分の意思と反した行動を強いられることに対して強い抵抗感を覚えるようです。一方、日本人は個々では嫌だなぁと思っていても、その特性から「みんながやっているなら自分もやらなくてはいけない」という空気を感じて、抵抗するよりも自分の意思に反して周りと同じ行動をとることに安心感を覚える人が多いように感じます。マスクをつけなければいけないという同調圧力があるという話も聞いたことがあります。
■マスクに対する拒否反応
現在私の周りでは風邪のウイルスが流行っており、私も数週間咳や喉の痛みが続いたことがありました。空気も乾燥していたので喉を潤わす目的でマスクをつけていたのですが、それを見た友人が眉間にシワを寄せ「え・・?なんでマスクなんてつけてるの?変だから取りなよ」と注意してきたのです。日本では乾燥や花粉、病気の感染を防ぐためでなく、他人に病気を移さないための配慮としてなど様々な目的からマスクを使用しますが、スペインではマスクをそのような理由で使用する人はほとんどいません。そればかりか顔を覆ってしまうマスクをつけている人と話をするのは、なんだか背を向けて話をされているような「拒絶されている」という感覚を持ってしまうのだそう。表情が読み取りにくくコミュニケーションがとりにくいし、それを失礼だと感じることもあるのだというのです。マスクを外さなければいけないという同調圧力とまではいきませんが、マスクをつけていると神経質すぎる人という印象を与えてしまうようです。
■人とのコミュニケーションが大好きなお国柄
スペインでは人と会ったときや別れ際には両頬にキスをして挨拶をします。男性同士の場合は握手やハグのことが多いですが、どちらにしてもスキンシップが日常的に行われるお国柄。そして友達や家族と過ごす時間を大切にし、「群れる」ことを好む人が多い印象があります。ソーシャルディスタンスを保つように言われたり、マスクで相手の表情が見えない状態が続くというのはスペイン人にとってはとても孤独で苦痛だったに違いありません。私の周りではほとんどの人がすでに最低1回はコロナウイルスに感染しており、彼らは「予防していたとしてもかかる時はかかる。感染対策なんて意味がない」と開き直って、今は予防や対策はほとんど行わずパンデミック以前と同じようなソーシャルライフを楽しんでいます。感染拡大の緩和が日本よりスピーディーなのは、こう言った国民性や文化が大きく関係しているのかもしれませんね。
■「個人の判断に委ねる」の無責任感
さて、日本ではコロナウイルスを5類に引き下げるのに伴ってマスク着用を「個人の判断に委ねる」としていますが、私はこの発表をとても無責任だと感じています。政府は国民から批判を受けることを避けるためにこういったふんわりした表現をしたのだと推測しますが、このように政府が責任逃れの規制緩和ばかりしているといつまでたってもコロナウイルスとの共存は実現しないのではないのでしょうか。日本人の国民性を理解しているのであれば、政府からはっきりと「原則不要」「着用義務撤廃」など、「マスクはしなくていいですよ」と表現するべきだと思います。
※長文の為全文は引用先で