https://news.yahoo.co.jp/articles/fe55b974ae9e78f83e862fe5d43eaeee187bbdc2
「妻がなんで亡くなったのか知りたい」
愛知県愛西市で、新型コロナワクチン接種後に女性が死亡した事例が発生して1か月目の12月5日。女性の夫は妻が亡くなった原因の究明を改めて求めた。
男性の妻、飯岡綾乃さんは11月5日、愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチン接種直後に容態が急変して死亡したのだが、死因究明をめぐる行政の対応は異例のスピードで行われた。第8波が到来し、ワクチン接種の加速が求められる中で、今回の死亡事例をブレーキにしてはならないとの判断だろう。
まずは11月11日、厚生労働省が「アナフィラキシー疑いと報告された事例」として現場からの報告を公表した。事例発生から一週間も経たないうちの発表は、異例の速さと言える。ただ、同じ報告書の中で、「アナフィラキシー疑い」の第一報の後、第二報として「アナフィラキシー疑いとして報告されたが、その他の反応として報告された」と第一報を否定する記述があり、現場の混乱ぶりが伺える。
ついで11月17日、今度は愛知県医師会が記者会見を開き、本事例について、ワクチン接種後であり最重症のアナフィラキシーショックの可能性が強く疑われることから、「アナフィラキシーが疑われる場合は、診断に躊躇することなく、(会場に配備されていた)アドレナリンの筋肉注射をすべきだった」との見解を公表した。ただし、医師が呼ばれた時点でアドレナリンが投与されたとしても、最重症のアナフィラキシーショックであった場合は救命できなかった可能性が高いと考えられ、死因としては急性左心不全であったことも否定できないと説明した。
分析したのは、各医会からの推薦委員に加え、救命救急やワクチン接種に関する専門家や弁護士などで構成された医療安全対策委員会で、「愛西市の集団接種会場で対応に当たった医師から直接聞き取り調査を行ったほか、当時業務に当たっていた看護師や救急搬送先の病院の医師からの情報も得た上で検討を行った」という。
ただ、死亡後の病理解剖は実施されておらず、最終的な病態解明には至っていない。救急搬送先の病院で死亡を確認後、「医師が遺族に病理解剖実施の有無を確認したが、返答はなく、遺族が茫然自失としていたため、それ以上の確認は行わなかった」ということが、亡くなった女性のカルテに記載されていると公表されている。
しかし飯岡さんの夫、英治さんはFRIDAYデジタルの取材に対し、こう明かす。
「病理解剖の話は私は聞いていません。妻が亡くなった後、私と一緒に私の両親がいて、妻が亡くなった後のAI(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)を見ました。彼女の両親や家族もその30分後には病院に来ました。私が本当に意思確認することができない状態であれば、私以外の家族に確認する方法もあったと思いますが、誰一人、病理解剖の質問をされていないんです。公表された情報では『遺族に病理解剖実施の有無を確認したが、遺族が茫然自失としていたため、それ以上の確認は行わなかった、という類の内容が病院のカルテにも書かれている』とのことですが、少なくとも私が見たカルテには書かれていませんでした」
飯岡さんの家族は、病理解剖するかしないかの打診もないまま、大切な人を荼毘に付されたことになる。死因究明は、死者の無念を晴らすためだけではなく、亡くなる人を減らすためにも欠かせない。その人の体内で何が起きて死に至ったのか、またそれがワクチン接種によるものなのかどうかが分かれば、重篤な事態が生じないよう先手を打つこともできるからだ。そういう意味では、死因究明は生きている人のための医学でもある。果たして、これ以上の死因究明は可能なのだろうか。法医学者で国際医療福祉大学医学部講師の本村あゆみ氏に話を聞いた。
(略)
「妻がなんで亡くなったのか知りたい」
愛知県愛西市で、新型コロナワクチン接種後に女性が死亡した事例が発生して1か月目の12月5日。女性の夫は妻が亡くなった原因の究明を改めて求めた。
男性の妻、飯岡綾乃さんは11月5日、愛西市の集団接種会場で、新型コロナワクチン接種直後に容態が急変して死亡したのだが、死因究明をめぐる行政の対応は異例のスピードで行われた。第8波が到来し、ワクチン接種の加速が求められる中で、今回の死亡事例をブレーキにしてはならないとの判断だろう。
まずは11月11日、厚生労働省が「アナフィラキシー疑いと報告された事例」として現場からの報告を公表した。事例発生から一週間も経たないうちの発表は、異例の速さと言える。ただ、同じ報告書の中で、「アナフィラキシー疑い」の第一報の後、第二報として「アナフィラキシー疑いとして報告されたが、その他の反応として報告された」と第一報を否定する記述があり、現場の混乱ぶりが伺える。
ついで11月17日、今度は愛知県医師会が記者会見を開き、本事例について、ワクチン接種後であり最重症のアナフィラキシーショックの可能性が強く疑われることから、「アナフィラキシーが疑われる場合は、診断に躊躇することなく、(会場に配備されていた)アドレナリンの筋肉注射をすべきだった」との見解を公表した。ただし、医師が呼ばれた時点でアドレナリンが投与されたとしても、最重症のアナフィラキシーショックであった場合は救命できなかった可能性が高いと考えられ、死因としては急性左心不全であったことも否定できないと説明した。
分析したのは、各医会からの推薦委員に加え、救命救急やワクチン接種に関する専門家や弁護士などで構成された医療安全対策委員会で、「愛西市の集団接種会場で対応に当たった医師から直接聞き取り調査を行ったほか、当時業務に当たっていた看護師や救急搬送先の病院の医師からの情報も得た上で検討を行った」という。
ただ、死亡後の病理解剖は実施されておらず、最終的な病態解明には至っていない。救急搬送先の病院で死亡を確認後、「医師が遺族に病理解剖実施の有無を確認したが、返答はなく、遺族が茫然自失としていたため、それ以上の確認は行わなかった」ということが、亡くなった女性のカルテに記載されていると公表されている。
しかし飯岡さんの夫、英治さんはFRIDAYデジタルの取材に対し、こう明かす。
「病理解剖の話は私は聞いていません。妻が亡くなった後、私と一緒に私の両親がいて、妻が亡くなった後のAI(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)を見ました。彼女の両親や家族もその30分後には病院に来ました。私が本当に意思確認することができない状態であれば、私以外の家族に確認する方法もあったと思いますが、誰一人、病理解剖の質問をされていないんです。公表された情報では『遺族に病理解剖実施の有無を確認したが、遺族が茫然自失としていたため、それ以上の確認は行わなかった、という類の内容が病院のカルテにも書かれている』とのことですが、少なくとも私が見たカルテには書かれていませんでした」
飯岡さんの家族は、病理解剖するかしないかの打診もないまま、大切な人を荼毘に付されたことになる。死因究明は、死者の無念を晴らすためだけではなく、亡くなる人を減らすためにも欠かせない。その人の体内で何が起きて死に至ったのか、またそれがワクチン接種によるものなのかどうかが分かれば、重篤な事態が生じないよう先手を打つこともできるからだ。そういう意味では、死因究明は生きている人のための医学でもある。果たして、これ以上の死因究明は可能なのだろうか。法医学者で国際医療福祉大学医学部講師の本村あゆみ氏に話を聞いた。
(略)