東京都杉並区立郷土博物館(大宮一)で開催中の企画展「杉並激動の昭和戦前史展」で、一九三六年に発生した陸軍青年将校によるクーデター未遂の「二・二六事件」に関する珍しい資料が展示されている。事件では渡辺錠太郎陸軍教育総監が区内の自宅で殺害されていて、担当者は「八十六年前の事件を知るきっかけにしてほしい」と話している。
展示資料は陸軍の反乱部隊が首相官邸へ侵入した際、どのような経路をたどったかなどを記した図面や、反乱部隊兵士に対する聞き取り調査の報告書など。
区教委によると、反乱部隊所属の将校(本人は事件に不関与)の遺族が二〇〇一年、区立中央図書館へ寄贈した。その後、同博物館へ移管。同館は「事件経過の一端を示した貴重な資料」と、今回展示した。
図面には、詳細な侵入経路や具体的な行動が兵士の名前と共に記載。事件に加わった兵士への聞き取りでは、目的不明だったとの回答が多数で、演習や暴動鎮圧と思った兵士も少なくなかったことも記されている。
後に首相となった近衛文麿(一八九一?一九四五年)が事件直後、滞米中の長男文隆に宛てた事件への感想などを記した書簡の原本も展示。近衛家に関する古文書などを保管する陽明文庫(京都市)の所蔵品で、内容自体は近衛文麿の伝記などに引用されているが、原本の一般公開はおそらく初という。
三十日までで、月曜と二十日休館。観覧料は百円、中学生以下無料。(小松田健一)
東京新聞 2022年10月17日 07時16分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/208552
展示資料は陸軍の反乱部隊が首相官邸へ侵入した際、どのような経路をたどったかなどを記した図面や、反乱部隊兵士に対する聞き取り調査の報告書など。
区教委によると、反乱部隊所属の将校(本人は事件に不関与)の遺族が二〇〇一年、区立中央図書館へ寄贈した。その後、同博物館へ移管。同館は「事件経過の一端を示した貴重な資料」と、今回展示した。
図面には、詳細な侵入経路や具体的な行動が兵士の名前と共に記載。事件に加わった兵士への聞き取りでは、目的不明だったとの回答が多数で、演習や暴動鎮圧と思った兵士も少なくなかったことも記されている。
後に首相となった近衛文麿(一八九一?一九四五年)が事件直後、滞米中の長男文隆に宛てた事件への感想などを記した書簡の原本も展示。近衛家に関する古文書などを保管する陽明文庫(京都市)の所蔵品で、内容自体は近衛文麿の伝記などに引用されているが、原本の一般公開はおそらく初という。
三十日までで、月曜と二十日休館。観覧料は百円、中学生以下無料。(小松田健一)
東京新聞 2022年10月17日 07時16分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/208552