トルコとギリシャ間の東地中海での緊張は意見の相違によって決定付けられる、相互に関連付いた長く続く数々の危機の一部である。(AFP)
トルコとギリシャ間で長年続いてきた緊張が再燃
https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_69527/
・専門家は、両国の緊張した関係がますます国内での目的に利用されるようになっていると述べる
・エルドアン大統領は、ミツォタキス首相がトルコへのF-16戦闘機の売却を阻止しようとしたと非難し、自分にとって首相は「存在しないも同然だ」と発言した
メネクセ・トクヤイ
アンカラ:先月、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相が米国議会で演説したことを受けて、トルコとギリシャ間の長年続いてきた緊張感が再燃している。
両国は同時に深刻なインフレーションを伴う景気の停滞に直面し、さらに2023年の選挙を目前に控え、両国間の緊張状態が国内での目的に利用されつつあると専門家は指摘する。
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、エーゲ海での自国の立ち位置に慎重であるよう、ギリシャ語で何度もツイートし、そうしなければ「後悔する事態になる」とギリシャに対して直接脅迫した。
エルドアン大統領は、ミツォタキス首相がトルコへのF-16戦闘機の売却を阻止しようとしたと非難し、自分にとって首相は「存在しないも同然だ」と発言した。さらに次のように警告を与えている。「トルコを面倒に巻き込もうとするな。疲れ果て、立往生することになるだろう」
これに対し、ギリシャ政府は「予測不能」な隣国に対抗して国家一丸となることを呼びかけ、一方アレクシス・ツィプラス前首相はトルコ語でエルドアン大統領に返答して次のように述べた。「ギリシャはあらゆる脅威から自国の主権を守る。挑発を止め、国際法に基づき、対話に戻るとしよう。我々が直面している経済危機に対する答えは、過激な国家主義ではない」
ミツォタキス首相はトルコの「攻撃性」に警鐘を鳴らし、「個人的な侮辱のゲームに巻き込まれる」つもりはないと加えた。
ワシントン研究所のシニアフェローのソネル・カガプタイは、近年の緊張は前代未聞の事態とする。
「エルドアン大統領はエーゲ海の紛争を巡ってギリシャに警告を発し、ギリシャがトルコに惨敗した1922年の希土戦争の再来をほのめかしている。今回は、アンカラとアテネとの緊張が近年で最も深刻なまでにエスカレートした状態だ」と語った。
ドイツのショルツ首相はここ数週間にわたり、トルコとギリシャの対立に良識を働かせるよう求め、アテネを全力で支援するとの声明を発表し、南東欧協力プロセスの一環として、金曜日、ギリシャの港湾都市テッサロニキを訪問した。
「東地中海のトルコとギリシャの間で起きている最近の緊張は、各国が国益と国家主権として何を定義付けるかに関する意見の相違によって決定付けられた、相互に結び付いた、長く続く一連の危機の一部である」と、ユーラシアエネルギー会議所エネルギー・地政学専門家であるマダリーナ・シス・ヴィーカリ氏はアラブニュースで語った。
アンカラ(トルコ政府)は、国際協定に基づき、エーゲ海のトルコに隣接するギリシャの島々での非武装化が必要であることを強調した。そこでのギリシャ軍の駐留を自国の安全保障への脅威と見なしているためである。
さらにアンカラは、大陸棚、海洋境界、不法移民、キプロスについての重複する主張を含む、エーゲ海での海洋紛争へのNATO、EU、または第三者の関与に反対の声をあげている。
アンカラを拠点とするシンクタンク、TEPAVのアナリストであるセリム・コル氏は、EUやNATOのような多国間組織による技術的解決は、危機を遅らせることはできても、止めることはできないと述べている。
「この危機は、数十年間も繰り広げられてきた奥深い政治的プロセスの現れである。それ自体に論理的根拠があり、自然の経過をたどって消滅するまで止まらないだろう」とアラブニュースで語った。
アンカラにとって、エーゲ海の島々は1923年のローザンヌ条約、1947年のパリ条約でギリシャに与えられ、それら条約では島々の非武装が保障されている。
しかしギリシャは、同じ海岸でのトルコ軍による敵対的行為から防衛するため、そこでの軍隊の駐留は自国の主権であると考えている。
両国は、島々に対する自国の立場を国連に通知しており、ライアン・ギンゲラス氏のように、歴史家の中には「エーゲ海での戦争は勃発の可能性があるだけでなく、ある時点ではおそらく起こりうる」と考える者もいる。…
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