※2022/02/19 09:09AERA dot.
オミクロン株の感染流行で医療体制がひっ迫している。そんな中、コロナ対応で中心的な役割を期待される国立病院機構(NHO)傘下にある災害医療センターで、医師や看護師が大量に離職し、医療提供に影響が出ていることが、AERAdot.の取材で明らかになった。院内では、コロナ対応をした職員に対する院長の差別発言やパワハラ騒動、さらには盗撮問題が起こっており、職員からは院長の退任を求める動きが出ている。
* * *
「職員が大量に辞めて、コロナ対応にも影響が出ている」
こういうのは災害医療センター(東京都立川市)の職員だ。
災害医療センターは国立病院機構(NHO)の傘下にある病院の一つ。NHOは厚労省が所管する独立行政法人で、全国に140病院、約5万3千床を持つ、巨大病院グループだ。地域医療の中核を担っており、コロナ対応でも、97病院で2515床(昨年9月27日時点)を確保し、治療にあたっている。災害医療センターも都西部の救命救急センターとして主要な役割を果たし、新型コロナの中等症・重症患者を受け入れる重点医療機関として、まさに最後の拠り所とされている。
そのような重要な病院で何が起こっているのか。職員はこう嘆く。
「看護師が月に3人から5人辞めている。昨年度で70人程度、今年度も同じくらいの人数が辞める予定です。NHOの関東信越のエリアでもこんなに辞めるのはウチくらいでしょう」
懸念されるのは医療への影響だ。現在の状況についてこう語る。
「年度初めには新人ばかりで機能しなくなるというのが現状です。病院幹部が現場に判断を丸投げし、現場が判断してもそれを覆すということが繰り返されている。コロナ対応にあたる看護師もそうした対応に参ってしまい、休職に追い込まれました。看護師が減れば、患者の対応にも限界がある。受け入れ患者も減っています」
本来であれば、NHOはコロナ禍で中心的な役割が期待されるところだが、災害医療センターではそうした期待に沿えない実態がこれまであったようだ。
その端緒は日本で新型コロナの感染拡大が始まるときに現れていた。2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染の問題が起きたときの話だ。災害医療センター内には「DMAT」と呼ばれる災害派遣医療チームの事務局があり、クルーズ船の集団感染でも職員が現地に派遣された。
一部の職員は災害医療センターの敷地内にある宿舎で暮らしていたが、現地から戻ってくることになると、病院の幹部から「その職員を敷地内に入れるな」という発言が出たという。当時を知る医師はこう語る。
「その発言をしたのは、現院長の土井庄三郎氏(当時は副院長)です。当然、DMATでは『これは差別発言だ』と問題視し、関連学会である日本災害医学会から強い抗議声明が出されました。声明の中に災害医療センターの名前は出ていませんでしたが、あの声明の背景の一つには、土井氏の発言がありました」
●診療科Aの医師らが相次ぎ退職
また、昨年、東京が新型コロナの第4波に襲われている最中に、災害医療センターでは、コロナ患者の受け入れの制限を行っていたという。コロナで肺炎になった患者など重症者を受け入れる救命センターの受け入れも縮小していた。ここでも土井院長の存在が影響していたようだ。ある職員はこう語る。
「院長はコロナ対応について消極的でした。国からコロナ病床を増やす要請があってやっと病床は確保したものの、コロナが全国的に落ち着いたときで病床はがら空き。院長からは『患者は実際に入れず、パフォーマンスとして用意しておけばよい』という発言もあったようです。しかし、目に見えて収益が落ち始めると、第6波を前にして、『患者を入れろ』とコロナ病床から一般病床に切り替えました。その後、コロナ患者が全国的に増えると、今度はコロナ病床の確保のために『一般病床を空けろ』とまた急に方針転換した。現場は振り回されました」
どういうことか。
実は、土井院長は名門国立大である東京医科歯科大の出身。19年に副院長として災害医療センターにやってきて、20年に院長になった。現場からのたたき上げではなく、院内では「落下傘院長」とも言われる。前院長も東京医科歯科大の出身で、2代連続で落下傘院長となっている。
続きは↓
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2022021800087
オミクロン株の感染流行で医療体制がひっ迫している。そんな中、コロナ対応で中心的な役割を期待される国立病院機構(NHO)傘下にある災害医療センターで、医師や看護師が大量に離職し、医療提供に影響が出ていることが、AERAdot.の取材で明らかになった。院内では、コロナ対応をした職員に対する院長の差別発言やパワハラ騒動、さらには盗撮問題が起こっており、職員からは院長の退任を求める動きが出ている。
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「職員が大量に辞めて、コロナ対応にも影響が出ている」
こういうのは災害医療センター(東京都立川市)の職員だ。
災害医療センターは国立病院機構(NHO)の傘下にある病院の一つ。NHOは厚労省が所管する独立行政法人で、全国に140病院、約5万3千床を持つ、巨大病院グループだ。地域医療の中核を担っており、コロナ対応でも、97病院で2515床(昨年9月27日時点)を確保し、治療にあたっている。災害医療センターも都西部の救命救急センターとして主要な役割を果たし、新型コロナの中等症・重症患者を受け入れる重点医療機関として、まさに最後の拠り所とされている。
そのような重要な病院で何が起こっているのか。職員はこう嘆く。
「看護師が月に3人から5人辞めている。昨年度で70人程度、今年度も同じくらいの人数が辞める予定です。NHOの関東信越のエリアでもこんなに辞めるのはウチくらいでしょう」
懸念されるのは医療への影響だ。現在の状況についてこう語る。
「年度初めには新人ばかりで機能しなくなるというのが現状です。病院幹部が現場に判断を丸投げし、現場が判断してもそれを覆すということが繰り返されている。コロナ対応にあたる看護師もそうした対応に参ってしまい、休職に追い込まれました。看護師が減れば、患者の対応にも限界がある。受け入れ患者も減っています」
本来であれば、NHOはコロナ禍で中心的な役割が期待されるところだが、災害医療センターではそうした期待に沿えない実態がこれまであったようだ。
その端緒は日本で新型コロナの感染拡大が始まるときに現れていた。2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染の問題が起きたときの話だ。災害医療センター内には「DMAT」と呼ばれる災害派遣医療チームの事務局があり、クルーズ船の集団感染でも職員が現地に派遣された。
一部の職員は災害医療センターの敷地内にある宿舎で暮らしていたが、現地から戻ってくることになると、病院の幹部から「その職員を敷地内に入れるな」という発言が出たという。当時を知る医師はこう語る。
「その発言をしたのは、現院長の土井庄三郎氏(当時は副院長)です。当然、DMATでは『これは差別発言だ』と問題視し、関連学会である日本災害医学会から強い抗議声明が出されました。声明の中に災害医療センターの名前は出ていませんでしたが、あの声明の背景の一つには、土井氏の発言がありました」
●診療科Aの医師らが相次ぎ退職
また、昨年、東京が新型コロナの第4波に襲われている最中に、災害医療センターでは、コロナ患者の受け入れの制限を行っていたという。コロナで肺炎になった患者など重症者を受け入れる救命センターの受け入れも縮小していた。ここでも土井院長の存在が影響していたようだ。ある職員はこう語る。
「院長はコロナ対応について消極的でした。国からコロナ病床を増やす要請があってやっと病床は確保したものの、コロナが全国的に落ち着いたときで病床はがら空き。院長からは『患者は実際に入れず、パフォーマンスとして用意しておけばよい』という発言もあったようです。しかし、目に見えて収益が落ち始めると、第6波を前にして、『患者を入れろ』とコロナ病床から一般病床に切り替えました。その後、コロナ患者が全国的に増えると、今度はコロナ病床の確保のために『一般病床を空けろ』とまた急に方針転換した。現場は振り回されました」
どういうことか。
実は、土井院長は名門国立大である東京医科歯科大の出身。19年に副院長として災害医療センターにやってきて、20年に院長になった。現場からのたたき上げではなく、院内では「落下傘院長」とも言われる。前院長も東京医科歯科大の出身で、2代連続で落下傘院長となっている。
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https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2022021800087