■ バイデン政権が目をつけた「軍への強制」
もっとも、アメリカはこれまで戦争においても「クリスマスまでに」といった目標を掲げながら、常に達成を逃してきた。「独立記念日までに」といった目標も、あくまでも努力目標であって、大統領至上命令というわけではない。
そもそも自由と民主主義を絶対的価値とするアメリカで、そのような政権からの命令、無理難題を政府機関や民間が迎合して受け入れることなどあり得ない。この点、価値観を共有すると言い張っている日本とは全く様相を異にしている。
だが、ワクチン接種によってCOVID-19の脅威から脱却し、経済活動と社会生活の再開と安定を可及的速やかに達成することを公約にしているバイデン政権としては、ワクチン接種をさらに推し進める努力を続けなければならない。
そこで目をつけたのが、「大統領命令によって強制的にワクチン接種を課す」ことのハードルが低いと考えられる軍関係諸機関に対するワクチン接種義務化である。
実際、冒頭に記したように、アメリカ陸軍では9月1日から基本的には全ての陸軍関係者たちにCOVID-19ワクチン接種を義務化する方針を打ち出し、各司令部に対して、そのような接種に向けて準備を開始するように命令を発した。そして、空軍や海軍もこのような方針を採用するものとみられている。
■ 反対論者の主張とは
それに対して、アメリカ軍ではワクチン義務化に反対を唱える関係者も少なくない(もちろん、自らの意思によってワクチンを接種する人々に、ワクチン接種を控えよ、と呼びかけているわけではない)。
強硬な反対論者は次のように主張する。ある意味、アメリカ軍の信念と強さが垣間見える主張として紹介しておきたい。
アメリカ国内で使用されているワクチンは、いずれもFDA(食品医薬品局)による正式承認を得ておらず、全てのワクチンが「緊急使用」として有事におけるやむを得ない使用として許可されている状態である。すなわち現在のワクチン接種は、大規模集団治験という実験的医療行為にすぎない。そのような実験的医療行為を軍隊に「強制」しようとしているバイデン政権は、ウイグルやチベットで医療実験を実施している中国共産党政府と、何ら変わりがないではないか(注:筆者は寡聞にして中国でどのような医療実験がなされているのかは確認していない)。
そもそもアメリカの軍隊は「アメリカの敵」と戦ってそれらを撃破し、アメリカを守るために存在しているのである。「アメリカの敵」とはアメリカの政治経済の根本に横たわっている「自由主義」を蔑ろにする勢力である。自由主義の原則を蔑(ないがし)ろにして軍関係者個々人の自由意志を「社会全体の安全安心のため」という美辞麗句で踏みにじり、感染阻止抑制効果も定かでない緊急使用段階のワクチンを用いた医療実験に強制参加させようとする勢力は、まさに「アメリカの敵」である。したがって、「アメリカの敵」と戦い勝利する義務を負っている真のアメリカ軍人ならば、そのような軍存立の根幹を揺るがすような政治的命令に対して断固として「NO!」を突きつけなければならない──。
全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/9540071cde46615c5a9a8da59802e171d80b4707?page=2