※朝日新聞
新型コロナウイルスの遺伝情報を調べている慶応大や大阪大などの研究チームが、感染した人の症状が比較的軽い新たなタイプの変異ウイルスを確認した。この発見が治療法開発につながる可能性があり、開発中のネコの治療薬が、新型コロナに活用できるかもしれないという。
新型コロナの遺伝情報は4種類の文字で表される約3万の「塩基」という化学物質でできていて、15日に1文字ほどのペースで塩基が別の塩基と入れかわり、さまざまな変異ウイルスが生まれている。英国などで確認された変異ウイルスは、人のあいだで広まる力が強いとされる。
チームは、昨年3月から8月にかけて慶応大病院で治療を受けた感染者の検体をもとに、ウイルスの遺伝情報を解析した。すると、「3CLPro」という酵素をつくる遺伝子に変異を持つウイルスに感染した48人では、変異がなかった37人に比べて、症状が重くなり人工呼吸器など酸素供給を必要とする割合が24%と、大幅に低かった。
変異によって酵素の働きが半分に落ちることを実験で確認した。これによって、ウイルスの増殖が妨げられていたらしい。この変異をもつウイルスは、夏の第2波のころには国内全体の大半を占めたときもあったが、いまは減少している。
現在、ネコのコロナウイルスが原因の「ネコ伝染性腹膜炎」の治療を目的に、「GC376」という化合物の開発が海外で進んでいる。この化合物も今回確認された遺伝子の変異のように、酵素の働きをじゃまする作用があるため、新型コロナの治療に活用できる可能性もあるという。
チームの末松誠・慶応大教授は…残り:187文字/全文:838文字
2021年2月8日 17時40分
https://www.asahi.com/articles/ASP285S2WP28PLZU004.html
新型コロナウイルスの遺伝情報を調べている慶応大や大阪大などの研究チームが、感染した人の症状が比較的軽い新たなタイプの変異ウイルスを確認した。この発見が治療法開発につながる可能性があり、開発中のネコの治療薬が、新型コロナに活用できるかもしれないという。
新型コロナの遺伝情報は4種類の文字で表される約3万の「塩基」という化学物質でできていて、15日に1文字ほどのペースで塩基が別の塩基と入れかわり、さまざまな変異ウイルスが生まれている。英国などで確認された変異ウイルスは、人のあいだで広まる力が強いとされる。
チームは、昨年3月から8月にかけて慶応大病院で治療を受けた感染者の検体をもとに、ウイルスの遺伝情報を解析した。すると、「3CLPro」という酵素をつくる遺伝子に変異を持つウイルスに感染した48人では、変異がなかった37人に比べて、症状が重くなり人工呼吸器など酸素供給を必要とする割合が24%と、大幅に低かった。
変異によって酵素の働きが半分に落ちることを実験で確認した。これによって、ウイルスの増殖が妨げられていたらしい。この変異をもつウイルスは、夏の第2波のころには国内全体の大半を占めたときもあったが、いまは減少している。
現在、ネコのコロナウイルスが原因の「ネコ伝染性腹膜炎」の治療を目的に、「GC376」という化合物の開発が海外で進んでいる。この化合物も今回確認された遺伝子の変異のように、酵素の働きをじゃまする作用があるため、新型コロナの治療に活用できる可能性もあるという。
チームの末松誠・慶応大教授は…残り:187文字/全文:838文字
2021年2月8日 17時40分
https://www.asahi.com/articles/ASP285S2WP28PLZU004.html