https://feed.kanaloco.jp/news/social/article-266374.html
三浦半島で6月以降、連続して発生し、最近は横浜でも相次ぐ異臭騒ぎ。県などは関係機関での
情報共有や調査態勢を整えているが、原因不明のままだ。加藤勝信官房長官が会見でたびたび言及し、
環境省も調査に乗り出すまで波紋は広がり、原因はさまざまな臆測が飛び交う。
ただ、SNS(会員制交流サイト)の普及とそれを受けた報道の過熱などが、騒ぎを大きくしている側面を指摘する声もある。
不安の声
「ガス漏れや化学工場との関連は」「スカンクではないのか」「ペットの火葬では」…。毎月起こる「騒ぎ」を受け、
神奈川新聞社には事態を不安視する声が多数寄せられている。住民の間でも話題に上り、異臭が発生するたびに
ガス漏れを疑って確認している施設もあるという。
騒ぎの始まりは6月4日夜、三浦半島の東京湾側の広い範囲で500件以上通報が相次いだ。
「ゴムが焼けたようなにおい」「化学薬品」「シンナー」など内容はさまざま。その後は7月17日、8月21日、9月19日、今月1日と続いた。
県や横須賀市などの関係機関は連携し、異臭を含む空気を採取できるよう同市消防局が、
空気入れ付きのビニール袋や硫化水素の検知機器を備えている。市は「異臭を感じたら迷わず119番を」と呼び掛け、
小泉進次郎環境相も「住民にとって間違いなく関心事、不安だと思う」と独自調査の着手を決めた。
横浜でも
異臭は三浦半島にとどまらず、横浜市内でも今月1、3日に続いて12日にはJR横浜駅などでも騒ぎが起こった。
原因について謎が深まる中、災害予測を研究する立命館大・高橋学特任教授は「関東大震災の発生前に城ケ島や浦賀で
異臭があったと記録が残っている」と指摘する。今年5月下旬に千葉県などで7回地震があったことや、過去に岩石の破壊実験で
焦げた臭いが出たことも踏まえ、警戒感を示す。
また、東京湾を航行する原油などを運ぶタンカーが、タンク内の検査で人が立ち入るため、ガス抜き作業を行っているからでは
ないかとの推測もある。
ただ、海洋問題を研究する東海大の山田吉彦教授は「東京湾で大型船のガス抜きを行うことは現状では考えづらい」と否定的だ。
かつては東京湾でも行われたものの、公害が社会問題化して以降はみられないという。横須賀海上保安部も一連の騒ぎで
いずれも該当する船舶がないことを確認している。
さらに、海の富栄養化によって異常発生したプランクトンの死骸が分解される過程で硫化水素を発する「青潮」が原因ではないか
という説も出ている。
以前から
一方で「異臭は今に始まったことではない。これまでも異臭の通報は毎月のようにあった。なぜ、これほど騒ぐのか」と
首をかしげる消防関係者もいる。
通報が500件に上った6月の騒ぎで人々が臭いに敏感になり、SNSの普及やメディアの報道なども相まって、
その後の毎月の騒ぎを引き起こした―という見立てだ。今月12日の横浜での騒ぎでは「これが噂の異臭なのかな」というつぶやきもあった。
メディアは近年、ツイッターなどのつぶやきなどから、事件事故の発生をいち早く情報収集して取材に着手する手法を強化している。
消防関係者は「報道機関がそのような方法を導入した影響があるのでは」と推察。過去には広く知られることのなかった小規模な異臭が、
問題化していることに違和感を覚えるという。
ソーシャルメディア評論家の落合正和さんは「SNSは災害に関してはデマが拡散されやすい。(人々は)恐怖心を持っているので、
小さなことでも拡散されてしまう」と指摘し、異臭騒ぎについても少なからずこの傾向が当てはまるとの見方を示す。
メディアがSNS上の情報をきっかけに取材することが多い現状を受け、「デマに惑わされないでということも呼び掛けてほしい」と注文した。
三浦半島で6月以降、連続して発生し、最近は横浜でも相次ぐ異臭騒ぎ。県などは関係機関での
情報共有や調査態勢を整えているが、原因不明のままだ。加藤勝信官房長官が会見でたびたび言及し、
環境省も調査に乗り出すまで波紋は広がり、原因はさまざまな臆測が飛び交う。
ただ、SNS(会員制交流サイト)の普及とそれを受けた報道の過熱などが、騒ぎを大きくしている側面を指摘する声もある。
不安の声
「ガス漏れや化学工場との関連は」「スカンクではないのか」「ペットの火葬では」…。毎月起こる「騒ぎ」を受け、
神奈川新聞社には事態を不安視する声が多数寄せられている。住民の間でも話題に上り、異臭が発生するたびに
ガス漏れを疑って確認している施設もあるという。
騒ぎの始まりは6月4日夜、三浦半島の東京湾側の広い範囲で500件以上通報が相次いだ。
「ゴムが焼けたようなにおい」「化学薬品」「シンナー」など内容はさまざま。その後は7月17日、8月21日、9月19日、今月1日と続いた。
県や横須賀市などの関係機関は連携し、異臭を含む空気を採取できるよう同市消防局が、
空気入れ付きのビニール袋や硫化水素の検知機器を備えている。市は「異臭を感じたら迷わず119番を」と呼び掛け、
小泉進次郎環境相も「住民にとって間違いなく関心事、不安だと思う」と独自調査の着手を決めた。
横浜でも
異臭は三浦半島にとどまらず、横浜市内でも今月1、3日に続いて12日にはJR横浜駅などでも騒ぎが起こった。
原因について謎が深まる中、災害予測を研究する立命館大・高橋学特任教授は「関東大震災の発生前に城ケ島や浦賀で
異臭があったと記録が残っている」と指摘する。今年5月下旬に千葉県などで7回地震があったことや、過去に岩石の破壊実験で
焦げた臭いが出たことも踏まえ、警戒感を示す。
また、東京湾を航行する原油などを運ぶタンカーが、タンク内の検査で人が立ち入るため、ガス抜き作業を行っているからでは
ないかとの推測もある。
ただ、海洋問題を研究する東海大の山田吉彦教授は「東京湾で大型船のガス抜きを行うことは現状では考えづらい」と否定的だ。
かつては東京湾でも行われたものの、公害が社会問題化して以降はみられないという。横須賀海上保安部も一連の騒ぎで
いずれも該当する船舶がないことを確認している。
さらに、海の富栄養化によって異常発生したプランクトンの死骸が分解される過程で硫化水素を発する「青潮」が原因ではないか
という説も出ている。
以前から
一方で「異臭は今に始まったことではない。これまでも異臭の通報は毎月のようにあった。なぜ、これほど騒ぐのか」と
首をかしげる消防関係者もいる。
通報が500件に上った6月の騒ぎで人々が臭いに敏感になり、SNSの普及やメディアの報道なども相まって、
その後の毎月の騒ぎを引き起こした―という見立てだ。今月12日の横浜での騒ぎでは「これが噂の異臭なのかな」というつぶやきもあった。
メディアは近年、ツイッターなどのつぶやきなどから、事件事故の発生をいち早く情報収集して取材に着手する手法を強化している。
消防関係者は「報道機関がそのような方法を導入した影響があるのでは」と推察。過去には広く知られることのなかった小規模な異臭が、
問題化していることに違和感を覚えるという。
ソーシャルメディア評論家の落合正和さんは「SNSは災害に関してはデマが拡散されやすい。(人々は)恐怖心を持っているので、
小さなことでも拡散されてしまう」と指摘し、異臭騒ぎについても少なからずこの傾向が当てはまるとの見方を示す。
メディアがSNS上の情報をきっかけに取材することが多い現状を受け、「デマに惑わされないでということも呼び掛けてほしい」と注文した。